東北ツーリング2013(西東北編)

週間天気予報では秋晴れの三連休のはずだった。
直前になって日本海側が雨の予報に変わってしまった。日本海側の海岸線に沿うように秋雨前線が停滞するという。
やっぱり、ツーリングは雨よりは晴れてるほうが楽しいので、予定を急遽変更して南紀にしようか能登にしようか・・・と迷ったものの、取りこぼしているのの字が気になって仕方がない。
結局、当日朝に予定どおり西東北へ向かうことにする。
ただ、関越道は道中で大雨にヤラれる確率が高そうなので東北道で北へ向かう。
1日目の設営は、仁賀保周辺から栗駒周辺に変更。

Day1 – 2013.10.12

04:50起床、06:00出発。
常磐道は比較的順調に流れていたが、やはり連休のボトルネックは郡山JCT。
いつもより流れが悪いと思っていたら、合流地点から延々と路肩にハーレーが停まっている。
車列は動いているのに、なんでこいつらは停まってるんだ?と不思議に思いつつ、安達太良SAに入る。
そこには。

ハーレーがさらにいた。それも100台以上。大型車用駐車スペース20台分ぐらいを占拠してもまだ余るぐらい。
何事かと聞いてみたら、菅生で全国ミーティングがあるそうだ。
あっちゃー。
こりゃ覚悟せねば。

というわけで、まずは安達太良SAで一眠り。
その次は鶴巣PAで給油。
でも、よく考えてみたら、この後すぐの大和ICで下道へ降りたんだから、わざわざ高速の高いガソリンを買う必要はなかったんだよな。「東北方面=鶴巣で給油」の公式がしっかり身体に馴染んでいるので、ついやっちまった。

昼食のため、岩出山を目指す。
かなり昔に聞いていた、パーコー麺で有名な「いろは食堂」に一度行っておきたかった。
これ・・・どう見てもラーメン屋じゃないよな。食堂でもないよな。どこが入口なんだよ?
さらに、行列の作り方や注文のタイミングにルールがあるようで、無礼のないように周囲の動きをさり気なく観察することが要求される。
と、突っ込みどころ満載の店である。
そして、これが噂のパーコー麺「特製いろはらあめん」。
脂っこいように見えてサッパリした味。こりゃクセになるわ。
結構イケてると思う万世のパーコー麺より旨いよ。

いろは食堂を出た後は、気の向くままに周辺県道を走る。ごく普通の田舎道。
草木川と絡む快適県道249号を進んでいくと、森林科学館にたどり着く。この先にゲートがあって、ここからジャスト1車線となる。いくつかの草木川支流の沢を越えて樹林の中へ。走りにくくはないが、ブラインドカーブが続くのでスピードは出せない。
やがて国見峠に到着。峠の少し西側(鳴子側)にゲートがある。標高はそれほど高いわけでなく、眺望もなく、また、走りにくい道でもなかったので、征服感はまるでない。
峠を少し降りたところで微妙な形の交差点。右にカーブしているのが県道249号、左折すれば片山地獄林道(名前は凄いが、羊頭狗肉の如く、観光林道らしい)。
このとき、時刻は既に15時を回っていて設営地が気になる時間帯だったこともあり、まずは吹上高原キャンプ場の状況を確認すべく、道としては最も興味を持てない水神峠方面へ進む。

途中、道路の右側に白い山肌が目立つ場所を通過する。採石場かあ、とチラ見しただけだったが、実はそこが立ち寄ろうと頭の片隅に入れておいた荒湯地獄という事実は、設営した後に気付いた。

2010年10月17日に発生した水蒸気爆発?の影響で、水神峠から鬼首地熱発電所方面への道路は関係車両以外通行止め。時間が時間だったので訪問するつもりはなかったが。

吹上高原キャンプ場をちょっと眺めてみたところ、想像以上に盛況である。が、このとき既に15時40分。
この日のうちにまだまだ走っておきたい場所がいっぱいあるので設営地を選り好みする状態ではないと気付いて、チェックインと設営を済ませる。
16時20分、買い出しと撮影に向けて再出発。

国道108号旧道入口を見ると「通行注意」との掲示。クローズされてないのは逆に意外で、突入するか迷う。時計は16:30。この日この地の日没は16:46。残念。昼食後に気の向くままに走ったツケだ。
仕方なく、バイパスから覆道を恨めしく眺める。

仙秋鬼首トンネルを抜けて湯沢側でもう一枚覆道を。紅葉はまだ先ですな。

役内川と赤倉沢の出合付近にある駐車帯で折り返して、キャンプ場近くにあるコンビニともスーパーとも土産物屋ともつかぬ店「おにっこ」で食料を調達して帰投したのだが、タープの様子がおかしい。ポールが倒れただけかあ、と思ってよく見たら、ポールが折れてやがる。そんなに強風が吹いていたのか。
気を取り直して風呂を浴びて、外に出てみたら雨。気温は14℃程度だが風が強くてとても寒い。夕食もそこそこに、すっかり心も折れて20:30にはシュラフに突入した。
なんだかなあ、後半は全てが中途半端な一日だった。

Day2 – 2013.10.13

4時頃、目覚める。
突風で食器やテントが飛ばされている音だ。上空は寒冷前線が通過中のようだ。
自身の食器などは就寝前にテントの中に入れておいたので飛ばされることはないだろう、と夢うつつで考えながら、飛び起きた。
ファミリーテントのテーブルが転がっている音が聞こえたからだ。状況を視認しないと危険極まりない。
幸いにして近くに設営しているテントはなかったので生死に関わる心配はなさそうなので、再び寝る。

05:45、眠れたかどうかよくわからないが、明るくなってきたので起きる。
コーヒーを淹れるための水を汲んだ後、ふと見上げてみると。

おおー、これは素晴らしいダブル・レインボウ。慌ててカメラを出して数枚撮影する。これが撮れたから、暴風雨はチャラにしてもいいかなあ。

朝食を済ませて片付けている間にも、時折り突風が吹き、その都度周囲で惨劇が起きる。タープが飛ばされてたり、テントが倒壊してたり。

そんな中を、萎え萎え気分で出発する。
国道108号花渕山バイパスの工事進捗状況を確認することもなく、やがて旧道化するはずの荒雄湖左岸や鳴子ダム堤体周辺現道を撮影することもなく。
念の為、鳴子峡に立ち寄ってみるが、紅葉はまるでダメ。

山形県に入ってしばらくすると見えてくる陸羽東線の高橋川橋梁と、国道47号旧道に架かる高橋川橋。鉄道橋のほうは補強工事されているものの煉瓦積み橋脚の4連ガーターで味わい深い橋だ。一方、道路橋はとてつもなく風化している。親柱は原型を留めておらず、路面は元々ダートだったのか、ダートになったのか、不明だ。そもそも、この橋が架けられた当時は国道指定されていたわけではない(1953年に指定された「二級国道108号石巻酒田線」で国道に昇格)だろうから、スペックもその程度だろう。

2011年の東北ツーリングで到達できなかった山刀伐峠。

高校生の頃に読んだ「おくのほそ道」を断片的に思い出す。
「高山森々として一烏声聞かず、木の下闇茂り合ひて夜行くがごとし」と記された地である。(引用部分はネットで検索した。暗記していたワケではない)

通行してみてわかったことは、前回ヒィヒィ言った山刀伐峠北側(赤倉温泉側)は、芭蕉が「辛き思ひをなして」と泣き言を連ねたほどの急峻な道程であったということだ。南側(尾花沢側)は緩やかな坂道とカーブで標高を下げてゆく。


尾花沢を抜け、舟形を経由して肘折温泉へ向かう。その道中、尾花沢と舟形の間にある猿羽根(さばね)隧道は1961(昭和36)年12月竣工で、坑口はそれなりの威厳を保っている。この写真の左側に鳥居があるので山の上には神社があるのだと思ったのだが、帰宅後に調べてみたら地蔵があるらしい。地蔵と鳥居って組み合わせもあるのか。というか、その道が国道13号旧道らしい。写真さえマトモに撮らなかったことを少し後悔している。

国道458号を南下し、塩という集落で県道にそれる。このまま国道458号を進んでも肘折温泉に乗り入れることはできないためだ。

枡玉という集落から眺める国道458号の日蔭倉覆道。この絶妙な支柱間隔が美しい。

肘折温泉では肘折希望大橋を取材するだけで、すぐに引き返した。十分一峠を抜けられるなら、もう少し滞在時間を確保できたのだが、7月に発生した崩落のため、寒河江方面へ向かうためには村山を迂回しなければならない。

国道458号、大雨で崩落 山形県「年内復旧厳しい」
 寒河江市から大蔵村・肘折温泉に通じる国道458号が、大雨による大規模な道路崩落で通行止めとなっている。肘折温泉へは、昨年の地滑りの影響で、新庄市からの道路も代替ルートに。旅館関係者は、国道458号の一日も早い復旧を望むが、めどは立っていない。

 県最上総合支庁によると、7月18日からの大雨で地盤が緩み、寒河江市との境に近い大蔵村南山・中小屋橋付近の道路が、長さ約100メートルにわたって「完全に抜け落ち、崩落している」という。

 国道458号は県管理の一般国道で、肘折温泉に向かう観光客や山菜採りの人たちが利用する。例年、冬季は閉鎖され、6月中旬に通行可能になるが、大雨と崩落で現在も通行止めのままだ。同支庁の松田正建設部長は「年内復旧の見通しは厳しいものがある」と話している。
朝日新聞 – 2013年8月1日

で、最上川沿いの県道30号を走っていたらステキなカンチレバートラスが見えてきた。赤い橋ってカッコイイ。

それは、1956年架橋の堀内橋。「内示(昭和14年)一等橋」の文字が誇らしげだ。

帰宅後に堀内橋関連情報を調べていて知ったことなのだが、この近くの実栗屋という集落には、油田跡や亜炭の炭鉱跡があるらしい。興味のついでに検索してみたら、昭和30年の国会委員会議事録(第022回国会 商工委員会 第21号)がヒット。どうでもいいことだが、委員長はなんと田中角栄氏である。

・・・一例をあげますと、山形県の内陸油田、新庄平原を中心としましたあの油田は、従来石油がないといわれておったのですが、こういう調査方法でいたしました結果、石油があるべきだという理論的な推論から試掘いたしました結果、堀内油田というものを発見したわけであります。・・・

堀内油田は県道30号と県道187号の交差点から数百m西、実栗屋炭鉱はその交差点の少し東、県道187号のヘアピンカーブ付近のようだ。

寒河江を通過して中山町という街へ。目指したのは温泉ではなく、「長崎駅」と「金沢駅」が隣り合わせという関係でもなく、単にJR左沢線最上川橋梁。国内最古の現役鉄道鉄橋である。
河原の上に3連プラットトラス、川の上には5連のワーレントラス(写真では、木に隠れて見えない)が架けられている。

その最上川橋梁のすぐそばにあった「鍋掛松」は、なんと芋煮会発祥の地であるという。へえ。芋煮会って、てっきり自然発生的に行われてきたのかと思ってたのだが、意外にも起源があったのか。

本日2つ目のループ橋、作谷沢湧水橋を取材して、白鷹町ふるさと森林公園に設営。
町の保養施設とのことだが、なかなか充実しているではないか。最寄りのショッピングセンターまでバイクで10分。

7月18日の大雨による土砂災害のため、露天風呂がつかえなかったのは大変残念なことであった。おそらくは、白鷹町の夜景を一望できる風呂なのに。
尾花沢の道の駅で買っておいた丹波黒豆枝豆(尾花沢で丹波黒豆とはこれ如何に)と気仙沼揚のカツオ造りで「冬」を味わう。

Day3 – 2013.10.14

5時起床。一旦用足しに出たものの、寒さに挫けて再びシュラフの中へ。
1時間ほどシュラフの中でもぞもぞして、ようやく6時過ぎに活動を始める。

明るくなって、サイトを見渡してみた。松林の中に、軽く放置感の漂うキャンプ場(全部で10サイト)がいいね。この日の設営は3組、適度な過疎感が尚よろし。

8時半に撤収、利用札をパレス松風のフロントに返して、本日最初の目的地に向かう。

これがフラワー長井線の最上川橋梁。昨日の橋と同じ名前じゃないか?そのとおり。こちらも国内最古の現役鉄道鉄橋である。元は明治22年に旧東海道本線の木曽川橋梁だったものを、大正10年に左沢線に、大正12年に長井線に、それぞれ移設したものだそうだ。如何にも電化されていない当時の橋梁で、車両と橋門構のクリアランスが非常に少ない点が印象的だ。

この後、置賜西部広域高速農道(だって、信号が全くないもんね)~県道250号~県道8号~大峠をつないで喜多方へ。

走行記録

喜多方では歩くのが面倒で・・・
市役所のすぐ近く、松屋にて昼食。

雄国沼を目指しかけるも、時間が押していることに気付いて断念、白河中央SICから東北道で帰宅の途についた。

走行距離 : 1,141.6km
走行時間 : 18時間21分
平均速度 : 62.21km/h
給油総量 : 40.87L
平均燃費 : 27.93km/L


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