ロランとは電波航法システムのひとつ。
電波航法システムには、衛星を用いる天文系と、地上の電波局を用いる地文系がある。
天文系には、電波航法システムとして圧倒的シェアのGPSやGPSのロシア版であるGLONASS、かつてはNNSSがあった。※日本が運用している準天頂衛星「みちびき」は、GPSを補完するもの。
地文系には、デッカ、ロランA、ロランC、オメガ等があり、精度とカバー範囲のバランスがよいロランCの普及度が抜きん出ていたのだが、2000年5月のスクランブル解除に伴ってGPSが爆発的に普及したことにより、利用者がどんどん減っている。ちなみに、ロランCを除く航法は1996年~2001年頃にかけて全て運用終了となっている。
日本が運用するロランC局は、かつては5局あったが、1994年10月1日に硫黄島ロランC局が、2009年12月1日に南鳥島ロランC局が閉鎖となった。
南鳥島は珊瑚礁が隆起した島で、高い山がない。周辺を航行すると、島影が見えるよりも先に高さ213mのロランタワーがレーダに映るが、長らく目視では何も見えないので、停留している漁船と間違えたものだ。
そして、2013年2月1日、今度は十勝太ロランC局が閉鎖になるという。
ロランC局の送信鉄塔撤去に惜しむ声
【浦幌】2月1日に電波を停止、その後、取り壊されることが決まった第一海上保安本部・十勝太ロラン航路標識事務所(ロランC局)=浦幌町昆布刈石30=の送信鉄塔。海の安全を守ってきた役割とともに、高さ193メートルの威容で町を象徴する建築構造物の一つだっただけに、町民から惜しむ声が上がっている。同事務所によると、高さは道東の電波塔随一で、1963年の開局以来、数々の地震にも耐えてきた。夜間、先端などに付けられた航空障害灯は数十キロ離れた場所からもよく見える。
町観光協会の木下政憲会長は「25年前、静岡県で知り合ったヨット愛好家から、浦幌のロランCの電波が安全に役立っていると聞かされた。浦幌を広く知らしめてくれる施設だった。閉局は残念」と話す。
2月1日は午前8時半から事務所で閉局式を行い、同9時に電波を停止する予定。
実は、昨年の北海道ツーリングに出発する数日前、海上保安庁のサイトで十勝太ロランC局解体工事の入札説明書を見つけて、これは解体前に見ておかねば、と、昆布刈石方面を経由することを決めていた。
結局、浦幌炭坑跡で遊びすぎて、昆布刈石到着は実に16:30。
さらにロランタワー下まで行くと日没までに設営できないこと確実なので、遠目で眺めるだけに終わってしまったが。
国内に残るロランC局は、新島(東京都)と慶佐次(沖縄県)であるが、運用はいつまで続くのだろう?
十勝太ロランC局閉鎖 – Ras and Road http://t.co/kWwbrVyA