東北ツーリング2011

9月の連休は東北ツーリング。
2004年以来の年中行事である。
そして、毎年、秋雨前線の影響で雨の中のツーリングである。(いい加減に学習すればいいのに)

ここのところ仕事が忙しくて帰宅が遅く、朝3時に起きるなんて無理だとわかっているので、ゆっくり出発するスケジュールを立ててみる。どう考えても岩手県南部~秋田県南部が設営北限のようだ。いろいろと情報を集めてみるものの、コンビニと温泉が徒歩圏内で、それでいて混雑しそうにないキャンプ場というのは見当たらない(当たり前か)。

まぁ、今回は完全ソロのフリーダムなツーリングであり、設営地を決めたところでそこまでたどり着く自信もなければたどり着く必要もないので、候補地をいくつかメモして出発する。

1日目の設営候補地
  • 達居森と湖畔自然公園@大衡村
  • 刈生沢の滝渓流公園@一関市
  • 黄金山@一関市
  • 真湯野営場@一関市
  • とことん山@湯沢市
  • 東山森林公園@湯沢市
  • 法体園地@由利本荘市
  • 祓川@由利本荘市
2日目の設営候補地
  • 蔵王坊平国設@上山市
  • 古竜湖@山形市
  • 庄内夕日の丘@酒田市

Day1(9/23)

05時30分起床。
気温が低いからか、天気が今ひとつだからか、スタンバイしながらもなかなか気分が乗らない。
07時15分頃ようやく出発するが、3kmほど走ったところで財布を忘れたことに気づく。
結局07時50分、当初の目論見より1時間半ぐらい遅れて出発する。これだけ遅い時間だと、常磐道の混雑に巻き込まれてしまう。渋滞というほどのことではないが、流れがとても悪い。

先日の北海道ツーリングで仙台港へ向かった際には磐越道は利用しなかったので知らなかったのだが、地震の影響で磐越道の何箇所かで法面崩落があったらしく、本復旧工事が始まっていた。東北道に入るとたちまち渋滞。郡山JCTのあたりは小さな盆地なので、典型的なサグ渋滞ポイントである。安達太良SAを過ぎてからも、いつものごとく断続的に渋滞している。吾妻PAで昼を迎え、こらえきれずに軽く食事を摂る。そして古川IC通過が13:45、もはや昼食なんていう時間帯ではない。

目指すは登米町。狙うは油麩丼。
いつどこで誰に聞いたか忘れたけれど、一度食べてみたいと思っていたBグルである。
結局、登米町到着は15時過ぎ。中途半端な時間帯になってしまったので店が開いているか心配だったが、街の真ん中の観光駐車場前にある「つか勇」で無事ありついた。

場所 : 日本、宮城県登米市 付近 ( 北緯38度39分15秒 東経141度16分53秒  標高 : 81m )
撮影日時 : 2011年09月23日 15時36分07秒  機材 : IS03

写真の左が油麩丼、右がはっと汁で、どちらも油麩が使われている。
なるほど、こういう味なのね。油麩丼は、親子丼のかしわがないので仕方なく油麩を使った、そんな感じである。はっと汁はいわゆる「すいとん」なのだが、結構しっかりした(というよりも濃い)味で、1人前を食べると喉が乾きそうだ。(写真はミニセット)

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店を出ると既に陽は傾き16時前。もはや秋田県方面へ向かう余裕などない。登米周辺に設営することに決め、買い出しのため歩いてスーパーへ向かう。
さすが「みやぎの明治村」と言われるだけのことはある。そこかしこにこんな門構えの家が。

登米市の施設、春蘭亭拡大する
でも、よく見ると傾いている。こういう構造なのではない。そして、その壊れた断面は比較的新しい。きっと、東日本大震災で受けた被害なのだろう。これは復旧がたいへんだ。どの家も「遺す」ことを真剣に考えているからこそ、こうして手を付けられないままになっているに違いない。ちなみにこの春蘭亭は登米市の観光施設として活用されている、築400年以上の元武家屋敷だそうだ。

設営地を、最寄りの無料キャンプ場である「刈生沢の滝渓流公園」に決め、30kmほどの道のりを急ぐ・・・つもりだったのだが、ショートカットしたはずの北上川右岸・県道239号がとんでもない険道であった。まさに0.8車線。前日までの豪雨で法面プチ崩落。そもそも路面が苔むして滑る。停車したが最後、発進できそうにない道だ。対向車が来ないことを祈り、なんとか通り抜けた。

きれいに芝刈りされたキャンプ場に到着したが、先客はいないようだ。
管理小屋もなく、ひとりぽっち決定で俄然ヤル気(笑)

場所 : 日本、岩手県一関市 付近 ( 北緯38度51分12秒 東経141度14分0秒  標高 : 97m )
撮影日時 : 2011年09月23日 16時49分43秒  機材 : IS03

ほぼ半年ぶりに広げるテント、設営しているとポツポツと降り出してきた。設営したら風呂へ行こうと思っていたのに、残念だ。でも、ふと耳を澄ますと、周囲の森から聞こえるのは鳥のさえずりと哺乳類系の叫び声。ん?誰かいるのか?

ちょっと怖くなって、近所の管理人宅へ設営報告を兼ねて情報を仕入れに行く。
「熊は出ない。滅多に出ない。」・・・って、出るってことじゃん?
問題の叫び声というか啼き声の正体は、どうやら猿らしい。
こりゃ、おちおちテントから離れるわけにはいかないな。いろんなものを持っていかれそうだ。

やがて日没。
駐車場横の第1サイト(勝手に名付けた)には外灯はないようで、見事に漆黒の闇に沈んでゆく。
やがて、猿の啼き声も聞こえなくなった。

この日の夕食は、登米で手に入れた露地物茶豆と松島で揚がったというカツオの刺身。大して期待していなかったのだが、どちらも美味。とりわけ茶豆は絶品である。帰宅後に調べてみたら、登米は茶豆の産地らしい。これは虜になりそうだ。、ビール4缶を1時間ほどで開けて昇天。

撮影日時 : 2011年09月23日 18時37分35秒  機材 : PENTAX Optio W90


冒頭に書いたとおり、この日は由利本荘を目指すはずだった。帰宅後にネットで見たニュースは、鳥海山の近くの県道が崩落したことを伝えていた。順調に進んでいたら・・・と考えると、とても怖い。私自身が命拾いしたこと、そしてこの35歳の男性も軽傷で済んだことが何よりである。

 大雨の影響で、秋田県の県道が約50メートルにわたって崩落しました。この現場に大型バイクが突っ込み、約20メートル下に転落しました。
 秋田県由利本荘市で幅9メートル、長さ50メートルにわたって県道が崩れました。道路が丸ごと崩れた形です。警察によりますと、24日午前4時すぎ、山形県鶴岡市の男性(35)が大型バイクでこの場所を通過する際、崩落に気づかず突っ込みました。男性はバイクごと約20メートル下に転落。落ちた場所から自ら携帯電話で救急車を呼んで病院に運ばれましたが、胸などを打つ軽いけがで済んだということです。崩落した県道は全面通行止めとなっていて、復旧のめどは立っていません。

(09/24 13:57 テレビ朝日)

Day2(9/24)

05:20起床。
テントの外に出しっぱなしにしていた簡易温度計を見てみると、なんと9℃。
キャンプ場周辺に立ち込める霧をしばし眺める。せっかく滝の近くに設営したんだから滝を見ようと思うものの、腰が重い。6時を回ってようやく陽が差し始めたので、前夜の雨でどっぷり濡れたテントを水切りし、7時過ぎに撤収完了。
結局、どのへんが「刈生沢の滝」なのかよくわからないままに終わった。

残念ながらエメラルド色にはほど遠い泥水色の厳美渓拡大する

一関の市街を通り抜け、R342を西進する。
「←厳美渓」の看板に誘われて立ち寄ってみると・・・

なるほど、これは普段なら見事な景色だわ。
前々日までの大雨のおかげでエメラルド色にはほど遠い泥水色だったのは残念だけど。こういう瀬をワイルドウォーター艇でイッキに下っていくと面白いんだよな。

国道を西進するだけじゃつまらんので、磐井川の右岸を走ってみる。どこかで適当に国道に合流するだろうと思っていたが、どんどん道が細くなっていき、ついにはある民家の前でダートになった。そしてその家の主が出てきて、この先は法面が崩落していてトラクターは通行できないがバイクならなんとか行けるかも知れない、でも路肩も緩んでるので注意してな、と忠告してくれる。そんな忠告を聞いて、Fで突っ込むほどの勇気は持ち合わせていないので引き返す。

祭畤大橋落橋現場拡大する
岩手内陸地震で発生した土砂ダムの撤去工事現場を横目にさらに西進すると、そこには同じくの現場があった。一関側(写真左)で落橋した部分は既に撤去されており、写真に写っている部分は地震被害を後世に伝えるために遺されるらしい。旧旧道の祭畤橋がどうなっているのか確認するのを忘れたことが返す返すも残念。

地震の影響で一時期クローズされていた真湯野営場は普通に開放されている様子だったが、キャンプ場の奥手が崖なので地震や大雨の後はちょっと怖い、そんな印象も確認しておいた。

須川温泉は標高1100mを超える峠。
強烈に寒いので、まずは足湯であたたまろうとするが・・・足を漬けると熱い、湯から出すと寒い、の繰り返して、どうしていいのかわからん。こういう湯ってことは、露天も内湯も熱いんだろうと一人納得して、足湯だけで満足する。

ようやく本日の一湯目、泥湯温泉の露天風呂。

強烈な硫黄臭が泥湯に来たことを感じさせるが、死者が出るぐらいに強烈な場所なのでちょっと緊張する。

泥湯を出た後はおっそろしくクネクネした県道310号を西進、国道108号を南下して、鬼首峠の賞味期限が迫っているであろうことに少し迷いつつも今回は無難に現道を選択、鳴子温泉~中山峠を経由して赤倉温泉方面へ。
山形県道28号では、かねてより気になっていた旧道の山刀伐峠(なたぎり)へ行ってみようとしたのだが、旧道の苔むした九十九折り・法面崩壊現場をヒィヒィ言いながら走っている最中にガソリン残量が残り僅かであることに気付き、あえなく引き返す。地図をよく見てみたら引き返すよりもそのまま突っ込んだほうがガソリン節約になったであろうことは失敗であった。

銀山温泉・古勢起屋拡大する
した後、せっかくなので青い目の女将で有名な銀山温泉へ向かう。

銀山温泉の名は昔から何かで聞いていたが訪れるのは初めて。温泉街に入る前から大渋滞なので、温泉はつかわず単なる観光に徹するつもりで歩いてみる。こんな3階建ての宿がひしめきあっている、こじんまりした温泉街である。こりゃ違法建築博物館だな。

山形市方面へ向かうため山形県道29号を南下する。ワタシが持っているツーリングマップルでは点線になっているのが気になるところだが、Google Mapsでチェックするとちゃんと道がつながっている。ほう、開通したんだ、と勝手に解釈したのだが・・・4t車以上通行止めのへなちょこ険道であった。にもかかわらず、結構な数の車が行き交う。背炙峠(せあぶり)の西側は視界が開け、村山市街の風景が一望できる。また、背炙峠の少し南側には、山形の棚田20選のひとつである「中沢の棚田」があった。

コンビニで休憩しつつ、この日の設営地を古竜湖(こりゅうこ)に決める。山形市の無料キャンプ場だ。
そんなに遊んだつもりはないのだが、日はすっかり傾き15:30を過ぎている。もたもたしていると日が暮れてしまう。でん六豆の工場に立ち寄りたかった(←でん六豆大好き)のだが、時間切れだ。
西蔵王市民の森拡大する
山形市内のスーパーで買い出しし、山田という集落を経由してキャンプ場に向かうのだが・・・案内が殆どなく、地元の人たちに何度も聞いてようやくたどりつくことができた。キャンプ場のすぐそばにはこんな絶景の展望台(西蔵王市民の森)もある、いい場所である。

ところが、キャンプ場の入口に「キャンプ場は閉鎖しました。」の看板が。どういうこと?と思って、デイキャンプをしていた地元ナンバーの家族連れに尋ねたところ、キャンプシーズンが終わって管理人は来ないから、バンガローなどの施設は使えず、水も飲用に適さないということらしい。
それなら何の問題もない。ひな壇形式のサイトを3つ使って設営した。

場所 : 日本、山形県山形市 付近 ( 北緯38度11分13秒 東経140度20分46秒  標高 : 380m )
撮影日時 : 2011年09月24日 17時49分49秒  機材 : IS03

陽が沈む頃、デイキャンプの家族連れは帰り、釣りに来ていた人たちも帰っていった。
おぉ、ここもひとりぽっちキャンプだ!と妙に気分が高揚する。
前日の登米茶豆に味をしめてこの日は山形茶豆。なのだが、どうやら味がいいのは庄内地方(いわゆる「だだちゃ豆」らしい)とのこと。まぁ、旨いのは間違いないのだが、登米の茶豆に比べるとインパクトが弱い。産地でこんなにも違うものかと実感することとなった。

Day3(9/25)

05:45起床。
目は覚めたのだが、寒くて動けない。なんと気温7℃。まだ彼岸だというのに、標高400m程度の場所なのに、なんでこんなに寒いのか。等と思ってもどうしようもない。

トイレに行きたくなってしかたなく外に出てみると、鏡のような古竜湖の湖面から立ち上る霧が見事だ。

ささっと食事を済ませ、適当に撤収して07:30出発。

地図を見ると、すぐ近くを通る西蔵王ラインにつながる道があるようなので、それらしき道を走ってみる。未舗装路だが、しっかり踏み締められているのでロード車でも問題ない。そして、西蔵王ラインの料金所はここから少し北の位置にあり、蔵王へ向かう場合は無料ということになる。

まだ時間的に少し余裕があるので、蔵王温泉の共同浴場でひとっ風呂浴びてゆくことにする。道を少し迷ったが下湯共同浴場だ。ところが、まだ朝が早くて客が少ないからか、湯がとにかく熱い!強酸性の泉質とあいまって、ピリピリどころではない激痛が走る。ほんの数分つかっただけで飛び出してしまった。

蔵王のお釜拡大する
蔵王のお釜も一度見ておきたかった場所である。370円の通行料を払って蔵王ハイラインを駐車場まで。
あちこち散策してみてもよかったのだが、それ以上に、エコーラインを上ってくるであろう観光バス群のことが気になって、さっさと下ることにした。エコーライン東斜面はかなり急カーブの九十九折のようなので、バスと対向するのはバイクでも気を遣うことになるんじゃないかと想像してのこと。

いざ走ってみると、バスはおろか、車もロクに上がってこないのだが、霧もすごい。視界およそ30m。路面はビシャビシャに濡れているのでスピードは上げられず、トロトロと下る。遠刈田温泉で国道457号に合流し、南下する。このR457が意外に曲者酷道であった。

この後、淡々と国道4号を南下するはずが、片側1車線になった途端に猛烈な渋滞で、脇へ迂回した道が宮城県道105号。100番台を侮るなかれ。0.6車線区間が連続する、どえらい険道なのだ。這々の体で国道349号に合流したら、なんと路面が超マディ!先日の大雨の影響で阿武隈川がプチ氾濫したんだろう。アスファルトがまるで見えないぐらいに泥が堆積していて、ヌタヌタなのだ。立ち止まったら、絶対に再発進できない。というか、こんな状態のまま開放しちゃイカンだろ、と思っていたら・・・氾濫跡区間を抜けたところにバリケードが置いてあったOrz

毎度のことながら、梁川で休憩する。前回立ち寄れなかったマザーヤマキ店内でプリンを食べるのが梁川での楽しみなのである。

撮影日時 : 2011年09月25日 12時19分53秒  機材 : PENTAX Optio W90

福島県内の東北道は東日本大震災の災害本復旧祭絶賛開催中なので、迂回するために国道349号を淡々と南下する。この道を初めて走ったのは6年前のこと。爾来、虜になった。何度走ってもとても楽しい道だ。

南へ向けて走っていて、ふと気づく。ちょうど稲刈りが始まる季節で、畦道に天日干し用の杭が立て始められているのを見かけたのだが・・・杭の立て方が混在しているのだ。

こちらは、おそらく関東以南で一般的な「稲架掛け(はさかけ)」である。

こちらのように、1本の杭に円形にかける「杭掛け(くいかけ)」(穂鳰(ほにお)とも)は、東北地方特有の稲掛け方式で、話には聞いたことがあったが実物を見たのは初めてかも知れない。

これが隣り合わせの田んぼに混在しているのだ。福島県あたりが稲作文化圏の潮目なのだろうか。

川俣町を過ぎ、旧東和町に入ると、針道のあばれ山車が展示してあった。
400年もの歴史があるとのことだが、その割にはキャラもの山車が多く、斬新である。伝統を頑なに守るのは簡単だけど、このようにコンセプトを守りつつ時代に合わせた祭にしていくって、とても大変なことだと思う。例年、体育の日の頃に開かれるらしい。今年は行けないが、いつか見てみたいものだ。

道の駅・ふくしま東和の大栄餃子房で昼食を食べた後、小野から磐越道に乗り、帰途についた。


走行距離 : 1,152km
走行時間 : 17時間26分