三瓶山の北東麓、島根県道281号窪田山口線沿いにある砂防堰堤の魚道がループしている。
堤体に埋め込まれた銘板によると、1972(昭和47)年7月30日着工、1974(昭和49)年2月1日竣工、島根県が荒廃砂防事業で建設した伊佐川佐津目(いさがわさつめ)堰堤である。
砂防堰堤建設時には魚道は設けられなかったために魚が遡上しなくなった対策として、1995(平成7)年にらせん魚道が設けられたそうだ。本記事では、県道の傍らに島根県が設置した看板に表示されている「伊佐川らせん式魚道」が正式名称として扱う。
魚道の高さ5.5m、砂防堰堤の魚道としては少し高めか。
蛇足だけれど、この佐津目という土地、大田市と出雲市にまたがっている。
名無し沢をはさんで異なる市の同じ字名の集落が存在する、不思議な土地だ。次回訪問する機会があれば、市が分かれた経緯を聞いてみたい。
構造 | らせん型魚道 |
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水系 | 揖斐川水系伊佐川 |
所在地 | 島根県出雲市佐田町佐津目 |
回転度 | 720度 |
訪問日 | 2016-05-06 |
全景写真 | |
他のループ魚道とは違って、ループ部と堰堤の間の直線魚道が長い。 荒廃砂防工事とは、土砂流出が激しい河川に対して行われる堰堤工や床固工等の整備の総称らしい。つまり、地すべり対策や火山砂防ではない、普通の砂防事業を指しているのだと思う。 拡大する 佐津目堰堤と伊佐川らせん式魚道の全景 魚道完成から20年余り、朱色のスミレモがまるで防錆ペイントのように魚道を覆っている。 堰堤側から魚道を眺める。堆砂(というか、泥)がかなり多いように見える。 ループ魚道からさらに延びる魚道。魚はこの魚道を完走するのに幾日かけるのだろうか。 ↑こちらに書かれた堰堤高さは9m。 ↓こちらに書かれた堰堤高さは7.5m。基礎部分を除いた高さということか? 1995年時点でループ魚道が設置されていたのは5県ということがわかった。深倉川第1号砂防堰堤魚道を見た折、現地の兄さんに聞いた国内5件というのは20年前のことだったのか。 |