2024年4月27日訪問 [Google Maps] [地理院地図]
淀川水系犬上川の分水による一ノ井幹線用水路に架かる公園橋。
木橋に見えるけれど、おそらく鋼桁橋。手持ちの撮影機材が貧弱だったので桁下を撮れていない。現地の証言を総合すると1993(平成5)年頃完成のようだ。
頑丈な高欄と擬石の親柱。いかにもバブル期に架設された公園橋と言えよう。見るからにメンテナンスされていないものの、架設から30年ほど経過してもなお大した腐朽はない。
甲良町の大半は犬上川が形成した扇状地にあり、かつては水利に難航した。
1932(昭和7)年に発生した干魃により水争いが勃発、上流側の堰が水を独占する暴挙に出たため400人が石を投げ合い、警官300人が出動する騒動になった。これが機というわけではないが同年12月から県営犬上川沿岸農業水利改良事業が開始され、翌年に金屋頭首工が完成した。金屋頭首工で取水した水は左岸側は新設水路(一ノ井幹線用水路)で900m導水し、1号分水工で3本の用水路(旧水路)に接続した。
その後、1981(昭和56)年度から県営ほ場整備事業が、1985(昭和60)年度から県営かんがい排水事業が実施され、農地区画整理と用水の地下パイプライン化により用水路は姿を消し、1号分水工はため池状の親水区域になった。農業用水が最大の目的ではあったものの、生活用水・防火用水・消雪用水としても活用されていたことからこれら用途の配水も考慮された。合わせて整備された農村公園・親水施設のひとつが三川分水公園で、1号分水工跡地に設けられた。そのような経緯のため、この公園に分水施設はない。
段階的に整備されたためこの橋の具体的な架設時期ははっきりしない。
- 参考資料
- 土地改良と環境・景観・親水(Ⅱ)(後藤章/水利科学 第31巻第4号 1987年10月)
- 甲良町の水辺づくり(本影一郎/滋賀県立短期大学学術雑誌 第42号 1992年9月)
- 村の堰(金屋頭首工)(農業農村工学会誌 水土の知 第88巻4号 2020年4月)