2024年12月28日訪問 [Google Maps] [地理院地図]
琵琶湖疏水(第一疏水)に架かる市管理橋。「琵琶湖疏水11号橋」とも呼ばれ、国内最古のRC橋として知られていたが、近年になって「最古」から「最初期」に訂正された。
1903(明治36)年7月完成、橋長7.23mの単径間メラン式RC桁橋。
日本近代土木の礎を築いた田辺朔郎の設計とされる。田辺朔郎は工部大学校(現・東京大学工学部)卒業論文で「琵琶湖疏水工事計画」を執筆した縁あって、卒業と同時に琵琶湖疏水の工事主任になった。琵琶湖疏水は1890(明治23)年に完成、その翌年には帰京して東京帝国大学教授に任用された。つまり、日ノ岡第11号橋設計・建設は東京帝国大学教授の時代であり、実質的には田辺朔郎は指導する立場にあったと考えるべきだろう。
落橋対策のため鉄骨の桁や高欄で保護されている。建設当初の写真を琵琶湖疏水記念館のウェブサイトで閲覧できる。
竣功時の日ノ岡第11号橋 第11号橋左側 第11号橋右側
琵琶湖疏水 日ノ岡船溜(現在は埋め立てられて新山科浄水場取水池)往来のために架設されたらしい。
「本邦最初鐵筋混凝土橋」(日本で最初の鉄筋コンクリート橋)の記念碑が建てられている(昭和7年京都市建立)が、田辺朔郎の工部大学校2年後輩に当たる吉村長策が設計した長崎市の本河内低部堰堤放水路橋(メラン式RCアーチ橋)は明治36年1月完成が判明したことから、定説が覆った。
日ノ岡第11号橋から琵琶湖疏水第3トンネルが見える。あのトンネルを抜けると蹴上船溜(インクライン起点)だ。
- 参考資料
- 長崎市ウェブサイト 重要文化財(建造物)「本河内水源地水道施設」 保存活用計画(参考資料)