甚念坊山2号橋(福島県福島市)

2024年10月14日訪問 [Google Maps]    [地理院地図]
阿武隈川水系大沢川に架かる市道(旧富岡街道)の橋。
1885(明治18)年完成、橋長7.2m幅員4.6m径間5.4m拱矢2.6mの単径間石造アーチ橋。
道路を通行しているだけではこれが石橋とは思わない。

旧富岡街道は浪江町から川俣町を経て福島で奥州街道に合流する、現在の国道114号の元になった道路で、明治初期に成立した。

富岡街道はもと川俣街道ともよばれ、明治初年には鳥谷野から小倉寺にかかり、渡利村字吹上で山を越え立子山村に向かったのを、明治十九年小倉寺字大巻から阿武隈川ぞいに立子山境の大沢の渓谷にかかって直角に左折し、立子山村にはいる新道を開いた。この県道指定は明治二十五年である。

出典:福島市史 第4巻 近代Ⅰ(通史編4)(1974年3月/福島市史編纂委員会)

輪石は一重、壁石は扇形石積み、橋面石張りと思う。路盤が嵩上げされアスファルトで舗装されているので、本来の姿は想像するしかない。街道の橋なので高欄や親柱があったはずだが、付近に現存せず。移設された旧祓川橋に似ており、その1885(明治18)年架設(修復)説に納得する。

これは上流側から眺めたもの。擁壁は野面積み。

前掲の福島市史の記述に従えば、ここから大沢川に沿って標高を下げ、東北電力蓬莱発電所(昭和13年完成)への道路と分岐して東北電力信夫発電所(昭和14年完成)まで阿武隈川に沿って続いているはずだが、阿武隈川に合流した直後に道筋が不明になる。現在は蓬莱発電所アクセス道路として機能している様子。取材時もプロボックスが何台もこの橋を渡って下っていった。

2022年土木学会選奨土木遺産

    参考資料

  • 地区だより まつかわ 2023年2月号(福島市役所松川支所)
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