大蔵坂上歩道橋

都立砧公園の北、日大商学部前交差点に架かる横断歩道橋の昇降階段がループしている。この交差点はY字形状で、歩道橋で都道と区道を一気に渡ることができる。

都道はこの交差点から西の仙川まで330mを4.5%の勾配で下るが、区道は200mほど平坦な区間が続く。武蔵野台地を仙川が侵食した谷戸(迫とも言う)由来の地形で、道を1本ずれると勾配が大きく変わる。そんな土地なので、歩道橋は交差点から20mほどしか離れていないものの都道と区道で1.2mの標高差がある。歩行者にとって最小限の階段で済むよう、都道をまたぐ桁と区道をまたぐ桁の床版高さを変えている。決して珍しくはないがよくある構造ではない。

ただし、その床版高さは階段で変えているため、歩道橋の南半分は自転車通行可、北半分は歩行者専用ということになっている。そういうわけで「の」の字を描いているのは北側の昇降階段のみ、中央部と南側の昇降階段・斜路は完全な「の」の字ではない。

路線都道3号世田谷町田線/区道
所在地東京都世田谷区砧5丁目
回転度540度
完成時期1970(昭和45)年12月
実走行日2024-06-01
全景写真
大蔵坂上歩道橋全景拡大する
北側から眺める大蔵坂上歩道橋。手前側(北側)は歩行者専用、向こう側(南側)は自転車も押して通れる。
大蔵坂上歩道橋の北半分拡大する
大蔵坂上歩道橋の北側を別角度から眺める。北側昇降階段は橋脚を巻くように階段があり、中央部昇降階段は橋脚と階段が独立している。
それにしても、さすが世田谷区。信号待ちしている車がポルシェ、ベンツ、ベントレー。
大蔵坂上歩道橋の南側昇降階段・斜路。階段と斜路は分けられているが、途中の踊り場で合流する。
大蔵坂上歩道橋の中央部昇降階段・斜路。南側とほぼ同じ構造だ。
大蔵坂上歩道橋の北側昇降階段。橋脚は階段支柱を兼ねている。
都道と区道の標高が異なるため、歩道橋の床版高さも階段で変えている。これがあるから北半分は歩行者専用なのだ。
斜路途中に設置されている街灯が時代を感じさせるデザイン。
iPhoneの計測アプリで桁下高さを測ってみた。左が南側の桁下、右が北側の桁下だ。 北半分の桁を上げているにも関わらず、桁下高さに大きな差がある。
北側と南側を合わせて「大蔵坂上歩道橋」だが、架設時期は南側が1970年6月で北側が1970年12月、半年ずれている。どういう事情があったのだろうか。