大曲浜ラウンドアバウト

東松島市の大曲浜地区は東日本大震災に伴う津波で大きな被害を受けた。震災前は仙台塩釜港石巻港区の大曲地区(旧矢本大曲漁港:1977(昭和52)年9月8日に石巻港へ統合)・南北上運河・石巻湾に囲まれたエリアに旧大曲村の集落があったが、津波によりその住宅が流され或いは全壊した。

※ 震災・津波被害の様子は東松島市図書館のICT地域の絆保存プロジェクトで記録されている。

その復興事業として、集落があった区域を矢本海浜緑地と産業用地として整備することになり、産業用地区域内を通る幹線道路の交差点2箇所にラウンドアバウトを採用することが2016年2月に発表された。

2018年頃には完成・供用開始かと思っていたがなかなか発表されず、しかしいつの間にか空中写真には完成している様子がうかがえる。空振り(立入禁止)覚悟で現地に行ってみたところ、すんなり走行できた。横断歩道は未ペイントであるが、規制標識「環状の交差点における右回り通行(327の10)」は設置済みで、標識の設置日を確認したところ前月の2020年2月。実にいいタイミングで訪問できた。

このラウンドアバウト、特筆すべきはエプロン端が歩車道境界コンクリートブロック(乗入れタイプ)ではなく、ランブルストリップス加工されていることだ。これなら初期費用は大幅に抑えることができ、壊れる心配が少なく、除雪作業も(この地域で除雪車が出動するほどの積雪は稀だろうが)スムーズに行える。ラウンドアバウトを含む円形交差点での国内採用事例はこれが最初だと思う。設計者に拍手を贈りたい。

路線市道
所在地宮城県東松島市大曲字下台
完成時期2020年2月
実走行日2020-03-27
全景写真

大曲浜ラウンドアバウト(北側交差点)

北側から眺める大曲浜ラウンドアバウト(北側交差点)拡大する
大曲浜ラウンドアバウト(北側交差点)を北側から眺める。横断歩道がまだペイントされておらず、「ゆずれ」ペイントはつい最近の施工のようだ。
大曲浜ラウンドアバウト(北側交差点)を東側から眺める。接続路の中心位置に線形誘導標が設置されている。卒塔婆のようにいくつも立てる必要はないという判断か。
南側から眺める。まだ建物がないので殺風景だが、やがて工場や事務所が建つだろう。
西側から眺める大曲浜ラウンドアバウト(北側交差点)拡大する
西側から。接続路4枝とも分離島を設けるのは新設道路ならでは。
大曲浜ラウンドアバウトの北側交差点から南側交差点を眺める拡大する
大曲浜ラウンドアバウトの北側交差点から南側交差点を眺める。(見えるかな?)

大曲浜ラウンドアバウト(南側交差点)

大曲浜ラウンドアバウト(南側交差点)を北側から眺める。適切な間隔のラウンドアバウト配置は交差点間の速度抑制効果も担う。
大曲浜ラウンドアバウト(南側交差点)を東側から眺める拡大する
東側から眺める。震災前は集落と防潮林のキワであったが、それは復興後も変わらず、左に見える土手は二次防潮堤で、その向こう(左側)に防潮林が整備される。
大曲浜ラウンドアバウト(南側交差点)を南側から眺める拡大する
南側から。こちらのエリアには事業者がいくつか移転済みだ。
西側から。向こうに見えるクレーンは漁船建造で成長したヤマニシ。
大曲浜ラウンドアバウトのエプロン端はランブルストリップス拡大する
大曲浜ラウンドアバウトのエプロン端はランブルストリップスで中央島に寄り過ぎであることをドライバーへ知らせる。
規制標識「環状の交差点における右回り通行(327の10)」裏に記された設置日は訪問の前月であった。

大曲浜の震災前後

Before
After

左:1984(昭和59)年11月06日 国土地理院撮影
右:2019(平成31)年04月29日 国土地理院撮影 ※ラウンドアバウトは施工中

南側交差点から北側交差点へ走行した車載動画をどうぞ。