亘理町役場前ラウンドアバウト

亘理町役場庁舎は東日本大震災による津波被害はなかったものの、応急危険度判定調査の結果が危険とされたため解体され、長らく仮設庁舎で執務されてきた。震災前から検討されてきた総合発展計画と都市計画を踏まえ、2000(平成12)年時点で予定地として決定していた区画に新庁舎を建設することとし、2016(平成28)年1月に亘理町新庁舎建設基本構想・基本計画が公表された。

この時点では区画内に南北方向及び東西方向の幹線道路を新規敷設することが盛り込まれていたものの、その交差点をどうするかまでは言及されていない。基本計画に対するパブリックコメントやその後の設計の過程で環状交差点を採用することにしたのだろう。2018(平成30)年9月19日の第20回亘理町議会定例会で都市建設課長が具体的に外径29m、トレーラー対応の幅員とすることを答弁している。

斯くして2020(令和2)年1月6日の新庁舎での業務開始とともに、役場区画内道路とラウンドアバウトが供用開始となった。区画内のちょうど中央にあたる場所で、通行車両の速度抑制効果がありそうだ。

訪問したのは供用開始から3ヶ月ほどで、まだ区画内の整備が完了していないため、平日ではあるものの通行車両は非常に少ない状況であった。

路線町道悠里東西線/町道悠里南北線
所在地宮城県亘理郡亘理町字悠里
完成時期2020年1月6日供用開始
実走行日2020-03-27
全景写真
亘理町役場前ラウンドアバウトを西側から(庁舎前から)眺める。見通しが良すぎて交差点を視認しにくいため、警戒標識「ロータリーあり(201の2)」は大きな意味がある。
亘理町役場前ラウンドアバウトを北側から眺める拡大する
亘理町役場前ラウンドアバウトを北側から眺める。ラウンドアバウトの教科書どおり、いずれの接続路にも分離島が設けられ、また、車道と自転車レーンと歩道を分離している。ゼロからの設計が為せる成果だ。
自転車レーンの構造は改良の余地がありそうだが、そもそも日本国内の設計には教科書的なものがほとんどなく、現時点ではやむを得ないだろう。
亘理町役場前ラウンドアバウトを東側から眺める拡大する
東側から眺める。新庁舎の左横に見える残雪の蔵王連峰が美しい。
南側から眺める。個人的な見解だが、このように中央島には何もない(設けるとしても交差点名のみ)が美しいと思う。
エプロンはおそらく透水性のインターロッキングブロックで舗装している。ここが最も早期に補修することになるだろうと見ている。

通行車両も歩行者もいないのでなんだかなあ、と言いたくなる映像になってしまったが。