ロータリー交差点

千早6丁目のロータリー交差点

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西鉄香椎駅近く、県営御幸町団地に隣接する街区にロータリー交差点がある。
なんでこんなとこに?というのが第一印象。

参考資料1に以下の記載がある。これは昭和29年住宅金融公庫公示第10号によるもので、公庫総裁が都度指定して公示したものだ。公庫がわざわざ指定するのは公的団体による計画的造成が前提であり、民間分譲地ではあり得ない。

福岡県粕屋郡香椎町大字御幸町所在建売事業団地を、坪当り価額3,300円の地域に指定した

参考資料2により、この団地は福岡県住宅協会(現・福岡県住宅供給公社)によって開発された「香椎町団地(香椎御幸団地)」であることがわかった。

香椎町団地は、1954(昭和29)年11月に開催された「住宅建設推進国民大会」の第三会場として、不燃構造の分譲住宅試作展が行われた実験的モデル住宅地であった。展示された住宅は主にコンクリートブロック造の耐火構造または簡易耐火構造、瓦葺またはフラットスラブの平屋建てである。敷地は70坪と広く、戦後日本の住宅の未来像を提示するショーケースとしての性格が強かったと見てよいだろう。

採用されたコンクリートブロック造の構造体は
T-1タイプ(規格式L型ブロック)、T-2タイプ(アメリカ式宇部ブロック)、T-3タイプ(鉄筋アッシュコンクリート)、T-4タイプ(T.K.式ブロック)、T-5タイプ(青木式ブロック)
とのことで、T-1タイプが鎮ブロック(中村式鉄筋コンクリートブロック構造)の発展型のようだ。

特筆すべきは、1950年代にしては珍しく団地中央に設けられたロータリー交差点である。モデル住宅地として視察者が多数来ることを造成段階から想定し、その動線整理や計画性の象徴として設計された可能性が高い。整然とした街区構成と合わせ、香椎町団地が都市計画的にも先進的な試みであったことがうかがえる。

戦後復興期の住宅政策・建築技術・都市計画が垣間見える、福岡県における重要な住宅地史跡と言えるかも知れない。

千早6丁目のロータリー交差点周辺の経年変化

Before
After

左:1956(昭和31)年03月 米軍撮影
右:2020(令和02)年10月 国土地理院撮影

建て替え済みの家屋が多いが、それでも3軒は分譲当初の建物(T-1タイプ、T-4タイプ、T-5タイプ)が現存しているようだ。いずれも現住なので現調時の撮影は控えた。

交差点情報整理

路線市道千早2212号線/市道千早2216号線/市道千早2217号線/市道千早2214号線
所在地福岡県福岡市東区千早6丁目 [Google Maps]    [地理院地図]    [Mapion]
完成時期1954(昭和29)年11月
実走行日2025年12月30日

現調レポート

千早6丁目のロータリー交差点を東側から眺める。優先関係がはっきりしない交差点だが、絶対的な交通量が少ない。

南側から眺める。この接続路は一方通行で規制されているわけではないが、路面ペイントの停止線が進入禁止を企図している。

南西側から眺める。ロータリーに右回りで進入することを拒むかのような配置だが、通行した車両はちゃんと右回りして行った。

西側から。中央島のソテツの植栽はきれいに手入れされており、住民自治の意識の高さがうかがえる。

北側から。この接続路も一方通行ではないが、停止線が進入禁止を表している。

    参考資料

  1. 住宅金融公庫年報 昭和29年版
  2. 住宅 1955年3月号(社団法人日本住宅協会)
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