神奈川県道71号秦野二宮線の現道(新道)は、1981(昭和56)年の東名高速秦野中井IC追加設置に伴って設けられた。葛川の西側段丘を開鑿しているため、道路の左右で標高差が大きい区間がある。その標高差を克服しさらに県道71号を越えるとなると車両の通行は著しく困難になるほどの急勾配になるため、ループ橋という奥の手が出されたのだろう。「五分一」はこのあたりの小字名である。
のの字の途中に県道へ接続する道路が分岐しているのでループ橋の定義から外れるが、見た目は十分ループ橋だ。
橋の先には寺院一宇と寺院の墓地があるのみで、受益者はこの寺院と檀家ということになる。中井町の道路認定図を探してみたが、建築基準法第42条の道路対象外らしく道路管理者は調査しきれていない。橋歴板には県が施主であることが刻まれており、橋梁だけが県道71号の付属物という位置付けかも知れない。
その橋歴板には1978(昭和53)年の道路橋示方書・Ⅲ コンクリート橋編 による「TL-9」が示されている。これは活荷重(≒制限車重)が9tであることを表している。しかし、規制標識に類するものは設置されていない。道路管理者が県や町でないからなのか、この急勾配急カーブを通行できる9t超の車両は存在しないからなのか、どちらだろう?
構造 | RCラーメン橋 |
---|---|
路線 | 町道?私道?(または神奈川県道71号秦野二宮線の付属物か?) |
所在地 | 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口 |
回転度 | 315度 |
完成時期 | 1987(昭和62)年3月 |
実走行日 | 2019-03-17 |
全景写真 | |
拡大する 五分一陸橋の交差部を北側から眺める。なかなかの急勾配、目測であるが20%を超えているだろうか。 五分一陸橋の交差部を北東側から眺める。県道につながっていることは目視できない。 拡大する 五分一陸橋をパノラマモードで撮影。写真右の標識は規制標識「一時停止(330-B)」と「指定方向外進行禁止(311-B)」で、のの字から県道へ進む車両に対する規制である。 拡大する 五分一陸橋空撮。内法半径4m、道路幅員4.2mなので、アルファードを否定するほどの急カーブではないが、国内屈指の小径のの字であることは間違いない。 活荷重は9t。9t超の車両は重量制限以前に物理的に通行できないと見ていいだろう。 誰の揮毫だろうか。受益寺院の住職? |