内間市営住宅前ロータリー

浦添市の南部、国道330号から少し東に入ったところにある浦添市の内間市営住宅入口にロータリー交差点がある。

沖縄が日本へいつ返還されるかまだはっきりしていなかった1969(昭和44)年※1に当時の浦添村※2は村営住宅建設を決定、1970(昭和45)年に完成した。外郭道路敷設の時点で既に現在と同様のロータリー交差点が設置されており、外郭道路の村道認定は1969(昭和44)年である。

※1 1969年11月の日米首脳会談で返還決定
※2 1970年7月に市制施行、浦添市になった

住宅団地の外郭道路に円形交差点を設け、団地に出入りする交通の安全を確保する例は日本国内においては珍しいが、これが円形交差点に期待する本来の機能であろう。

当時の沖縄本島に設置された円形交差点としては糸満ロータリーと嘉手納ロータリーぐらいしかなく、また、米国民政府が設置を指導したとも考えにくい(指導したなら他にも円形交差点が強権的に作られたはず)ことから、住宅建設を担当した村職員が独自に発案したものだろう。発想は現代にも通用する素晴らしいものであるが、残念ながら正しく評価されなかったようで、その後にこのような立地で市施設周辺にロータリー交差点が設けられることはなかった。

1996(平成8)年から2002(平成14)年にかけて内間市営住宅は順次建て替えられたが、このロータリー交差点は当時の姿のまま残された。中央島の大きなガジュマルはその歴史を表していると思われる。路面ペイントで右回り(時計回り)を案内しているが、交差点周辺に路上駐車が多いことから、このロータリーを逆走する自動車がいてもおかしくないのが実情だ。

なお、返還前年の1971(昭和46)年には琉球政府道41号線(現国道330号)の通称「バイパス」の一部区間(古島IC~大平IC)が開通し、内間周辺は急速に発展した。

カテゴリーロータリー
路線市道内間13号線
所在地沖縄県浦添市内間2丁目
完成時期1969(昭和44)年
実走行日2018-01-11
全景写真
西側から眺める内間市営住宅前ロータリー拡大する
内間市営住宅前ロータリーを西側から眺める。路面ペイントで案内されているだけだが、自然と右回りする構造になっている。
東側から眺める内間市営住宅前ロータリー拡大する
内間市営住宅前ロータリーを東側から眺める。残念ながら路上駐車が多い。
市営住宅から眺める内間市営住宅前ロータリー拡大する
市営住宅から眺める内間市営住宅前ロータリー。中央島のガジュマルはいつ頃植栽されたものだろうか。少なくとも先代の市営住宅を取り壊すときにはガジュマルがあったとの現地証言を得ている。
1970(昭和45)年の空中写真。市営住宅建設直後と見られる。
県道251号那覇宜野湾線(パイプライン通り)はあるが、琉球政府道41号線(現国道330号)「バイパス」はまだ敷設されていない。