ループ橋

椣原ループ(椣原・菊美台路線カルバート)

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平群町北部、生駒市との境界付近に造成された菊美台と竜田川に沿って南北に通る国道168号(平群バイパスでない、旧来からの国道)の間を結ぶ町道が近鉄生駒線を跨ぐ地でループしている。

訪問直後にレポートを書いた時点では正式名称が不明だったが、その後の調査で「町道椣原・菊美台路線」の「カルバート」であること、のの字は計3本の橋梁(うち2本は片側だけ橋梁の桟道橋)で構成されていることが判明した。

竜田川と近鉄東山菊美台住宅地

竜田川は百人一首の「ちはやぶる神代もきかず龍田川 からくれなゐに水くくるとは」(在原業平朝臣)で詠われた川である。

詠まれた川は実は大和川(龍田大社近く)ではないかとの説がある

生駒市や平群町の可住地は、生駒山地(大阪と奈良を隔てる山並み)と矢田丘陵(生駒・平群と奈良を隔てる山並み)に挟まれた断層谷を竜田川が侵蝕して形成された。生駒市境から北と椣原から南は河岸段丘面があるが、椣原付近は存在せず渓谷あるいは峡谷とも言える区間で、近くには馬鍬淵(まぐわぶち、まんがぶちとも)という渓谷と淵がある。

そのような、山が川ぎりぎりまで迫っているような土地なので近年まで開発されてこなかったが、ループ橋+大胆な切土・盛土という荒業(でもないが)で急傾斜を克服することとして1990年造成開始、1993年に近鉄生駒線の線路移設、1995年の椣原・菊美台路線建設を経て、1998年に近鉄東山菊美台住宅地の造成が完了した。

のの字情報整理

路線町道椣原・菊美台路線
所在地奈良県生駒郡平群町菊美台1丁目
回転度240度
完成時期1995(平成7)年
実走行日2008年05月06日

椣原ループを構成する橋梁名称

菊美台1号橋:ループを構成する桟道橋(全長20m)
菊美台2号橋:ループを構成する桟道橋(全長30m)
椣原・菊美台路線カルバート:ループを構成するカルバート(全長20m)

(以下は付近に存在する橋梁:参考)
椣原大橋:竜田川に架かる橋梁(全長20m)
菊美台3号橋:椣原大橋付近で町道椣原・菊美台路線から分岐する町道北菊美台260号線(歩道)の橋梁(橋長57.2m)
菊美台4号橋:椣原・菊美台路線カルバートと並行して近鉄生駒線を跨ぐ町道北椣原366号線の橋梁(橋長58.5m)で、農地への接続路

椣原ループ(椣原・菊美台路線カルバート) ビフォー・アフター

Before
After

左:1985(昭和60)年06月17日 国土地理院撮影
右:2008(平成20)年05月15日 国土地理院撮影
※近鉄生駒線の旧線を橙色、新線を紫色でトレースしている

現調報告

(2008年5月6日撮影)
椣原ループ(椣原・菊美台路線カルバート)全景。ループ内側にある建物、初回訪問当時は汚水処理施設で、2012年に事務所機能を持ちつつ備蓄倉庫・書類保管庫が主用途の町役場支所になったとのこと。

山を大胆に掘り込んで建設された町道椣原・菊美台路線。撮影地の真下は近鉄生駒線が通っている。

これは竜田川に架かる椣原大橋(の橋名板)である。のの字内をくまなく探したが、カルバート及び桟道橋の銘板は見当たらなかった。


(2024年4月27日再訪)
川筋に沿って国道と近鉄が通っている様子がわかる。近鉄東山菊美台住宅地は思い切った土地を開発したのだと実感する。

椣原ループ(椣原・菊美台路線カルバート)を真上から眺める。


(おまけ)
これが馬鍬淵。住宅地のすぐそばにこんな場所があるなんて!じゃなくて、こんな場所のすぐそばに住宅地を作っちまったのか!だと思う。

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