函館地方裁判所前交差点

函館は何度も市街地の大火災が発生していた。
中でも焼失面積が最も大きかった昭和9年の大火は市街地の半分近くが焼け住民の半分以上が罹災する大惨事であった。

明治・大正時代から火災の都度に道路の拡幅、消火用水の整備、公共構造物の耐火化等の防火対策が実施されてきたが、不十分との反省から、昭和9年大火の復興において一層の道路拡幅が推進され、防火帯の役割を持つ幅員20~30間(36~54m)の道路、その終端付近には鉄筋コンクリート造の公共構造物が配置された。

その結果、大幅員の道路が交差する函館市役所前・函館中央郵便局前・函館地方裁判所前の各交差点が円形交差点になった。その円形交差点でどのような交通規制または交通指導が行われたのか記録を発見できていない。

21世紀の現在、函館市役所前と函館中央郵便局前は交通島が撤去されて十字路になっているが、函館地方裁判所前のみ当時の姿に近い形状の交通島が残っている。警戒標識「ロータリーあり(201の2)」は設置されているもののロータリー交差点としての運用にはなっておらず、新川広路の通行が優先されている。

路線市道新川広路/市道広小路
所在地北海道函館市上新川町
完成時期昭和初期(昭和10年頃?)
実走行日2024-09-05
全景写真
函館地方裁判所前交差点の警戒標識拡大する
函館地方裁判所前交差点の警戒標識。警戒標識「ロータリーあり(201の2)」はこの1件のみ。
広小路から見る函館地方裁判所前交差点。新川広路が優先されるため、一時停止で規制されている。
函館地方裁判所前交差点の交通島。植栽の背が高く、運転者は交差道路の状況がよく見えない。ラウンドアバウトやロータリー交差点の運用を行わない場合でも植栽は70~80cm程度までの高さが望ましいのではないだろうか。
    参考資料

  1. 函館市史デジタル版 > 通説編第3巻 > 第5編 > 「大函館」その光と影 > 大火後の復興事業
  2. 函館の大火史(説明) [ 函館市 > 市政ポータルサイト > 組織・部署 > 消防本部 > 庶務課 ]