天現寺歩道橋

明治通りと外苑西通りが交わる天現寺橋交差点に架かる横断歩道橋は交差点の四隅を連絡する四角い形状で、その昇降階段4基のうち北西隅が螺旋階段になっている。

かつて都電7系統と34系統が走っており、北西の一角は交通局広尾車庫であった。1974(昭和44)年の都電廃止により車庫は解体され、翌年には都営広尾5丁目アパートとこの天現寺歩道橋が完成した。再開発地なので歩道橋を含めて街区設計できたはず、つまり昇降階段を螺旋階段にする必然性があったとは思えない。言い換えれば、都営住宅の設計完了後に横断歩道橋の架設が決まったということだろう。

渋谷橋歩道橋と同様に歩行者専用の歩道橋になっており、自転車は路面の横断帯を、ベビーカーや車椅子は大きく迂回する必要がある。とりわけ外苑西通りは横断歩道が遠く離れており、抜本的な改良が求められているようだ。

慶應義塾機関誌 三田評論に、都電が走っていた時代の交差点の様子が写真数枚とともに語られている。期間は不詳ながら、1956年時点で天現寺橋交差点はロータリー交差点だったことがわかる。

路線都道416号古川橋二子玉川線(明治通り)
/都道418号北品川四谷線(外苑西通り)
所在地東京都渋谷区広尾5丁目
回転度360度
完成時期1970(昭和45)年4月
実走行日2024-10-20
全景写真
天現寺歩道橋の螺旋階段。渋谷橋歩道橋とは違って、主桁の橋脚と昇降階段の橋脚が個別に設けられている。
天現寺歩道橋の螺旋階段拡大する
螺旋階段を別角度から眺める。無理やり設置した感があふれている。
建設は都電廃止の半年後。架設を急ぐ必要があった背景はなんだろう?
天現寺橋拡大する
横断歩道橋のすぐそばには渋谷川(古川)と笄川(こうがいがわ/天現寺川、龍川、広尾川とも呼ばれる/正式には下水道青山幹線)に架かる天現寺橋(1935(昭和10)年3月完成、橋長14.7mの2径間単純鋼鈑桁橋)がある。手前が渋谷川(古川)の流路、奥が笄川(下水道青山幹線)の流路。