のの字巡りを始めてすぐの頃、地図を眺めていて「山の中にもこんな大規模なものがあるんだ!」と少し驚いたことを記憶している。
のの字を構成するのは馬桑川を越える2つの橋であるが、1つ目(川の上流部に位置する小さな橋)の名称は不明。2つ目が曲線を描く大規模な方杖ラーメン橋で、これが馬桑橋である。この付近の集落は まぐわ と濁るが、橋の名前は まくわはし と濁らない。
のの字を描いてとても緩やかな傾斜のように見えるが、制限速度を遥かに下回る速度で唸るように走る古い軽自動車が前にいて閉口した。
のの字部の中央には朽ち果てたドライブイン(喫茶店?)、その名も「ループ橋」がある。
なお、ネット上ではこの橋のことを「那岐大橋」としているウェブサイトがあるようだが、那岐大橋は黒尾トンネルの北側、鳥取県八頭郡智頭町にある非ループ橋である。(走っていると、「那岐大橋」の標識が見える。)
こんなことがあるので、現場訪問・現場確認はやめられない。
2013年6月2日追記
5月に再訪して撮った写真、その後の再調査の結果を記録する。
再調査の結果、馬桑橋の北側に位置する小さな橋の名がわかっただけでなく、ループを構成する橋梁は2つではなく3つあることが判明した。下表の青字がそれである。「82号橋」が馬桑橋の北側に位置する小さな橋、「桟道橋」は馬桑橋と82号橋の間の道路(ループの西縁にあたる部分)にあり、実は1車線だけ橋梁なのであった。空中写真を見ればジョイントが見えるので納得できる。
| 橋名 | 橋長(m) | 幅員(m) | 構造 | 架設 |
|---|---|---|---|---|
| 籾穂橋 | 10.6 | 9.7 | PC橋 | 1970 |
| 古木山橋 | 10.6 | 9.25 | PC橋 | 1970 |
| 上竹谷橋 | 18.06 | 12.25 | PC橋 | 1970 |
| 下竹谷橋 | 15.66 | 12.22 | PC橋 | 1970 |
| 高尾橋 | 15.8 | 9.3 | PC橋 | 1970 |
| 83号橋 | 12.1 | 12.2 | RC橋 | 1970 |
| 天神橋 | 100 | 9.2 | PC橋 | 1971 |
| 小倉谷橋 | 50 | 8.6 | PC橋 | 1970 |
| 馬桑橋 | 180 | 14 | 鋼方杖ラーメン橋 | 1970 |
| 桟道橋 | 54 | 6.8 | PC橋 | 1970 |
| 82号橋 | 12.7 | 14.6 | PC橋 | 1970 |
| 小田橋 | 27.96 | 9.75 | PC橋 | 1970 |
| 茶屋橋 | 13.6 | 10.5 | PC橋 | 1969 |
| 山川橋 | 19.54 | 10.8 | PC橋 | 1968 |
| 路線 | 国道53号 |
|---|---|
| 所在地 | 岡山県勝田郡奈義町馬桑 |
| 回転度 | 270度 |
| 完成時期 | 1970(昭和45)年12月完成/1971(昭和46)年9月24日供用開始 |
| 実走行日 | 2006年05月05日 |
2006年05月05日撮影
国道53号を北上すると唐突に現れる馬桑橋。その大きさに圧倒される。
のの字部の中央に残る「ループ橋」という名のドライブインの名残。
2013年5月4日撮影
文章ではうまく表現できないのだが、ループ内部は馬桑橋の見どころと言える。警戒標識「左背向屈折あり」(205)が3連続で並んでいるのもよい。
ループ最奥部の旧道から眺める。このループは巨大で、全景を眺めることは難しい。写真右に車が1台いるが、この対向車線あたりが「桟道橋」である。
馬桑橋西端からの眺め。冬場は中国山地から吹き下ろす風が冷たそうだ。凍結することも多いだろう。
馬桑橋東端からの眺め。ループしていることを示す大きな標識が印象的だ。国道は中央分離帯が設けられ、追い越し禁止を強調している。
長らく橋名が不明だった、馬桑橋の北側に位置する小さな橋、「82号橋」
かな橋名板がなくなっていた。確か7年前はあったのに。

