山川隧道(やまごずいどう)

(2009年10月初版記事公開/2024年1月7日全面書換え)

1998(平成10)年3月に策定された金沢市都市計画マスタープランに掲げられた「環状学術研究軸を形成する学術ロードの整備」の一部として整備された市道がのの字を描いている。

山間地連絡道路ネットワーク事業(山間地ネットワーク道路整備事業とも称される)の第一期事業区間として、別所町~天池町の整備が1994(平成6)年度~1999(平成11)年度に行われた。1999年度には供用開始されたと見られるが、市道として認定及び全線供用開始は2005(平成17)年4月1日だ。

山川隧道ループを空中写真で比較

付近の空中写真を年を追って見比べてみると、石川県埋蔵文化財センター(1998(平成10)年1月23日設立)を現在地に建設したことがこの道路建設の大きな動機になったと見てよいだろう。2000(平成12)年完成の内川スポーツ広場も含まれるかも知れない。

1994(平成06)年05月28日 着工前。
1996(平成08)年09月28日 西側から工事が始まっている。
1997(平成09)年10月09日 トンネル銘板によればトンネル完成前月ということになる。事業区間全体で見れば、まだ山川町~天池町が繋がっていない。
1999(平成11)年10月25日 写真の右側、内川に架かる「内川虹の橋」は完成していように見えるが、この時点ではまだ施工中。

都市計画マスタープランの「環状学術研究軸」が何を指しているかはっきりしないが、埋蔵文化財センターの他に、北陸学院短期大学(現・北陸学院大学)が1967年に現在地(三小牛町)に移転、北陸大学の開学(太陽が丘キャンパス・薬学キャンパス)や金沢大学が1989年から2005年にかけて現在地(角間キャンパス)へ移転したこと、北陸大学近隣に石川県立自然史資料館が2006年に開館したことなどが挙げられる。

周辺は加賀野菜のひとつであるたけのこの産地・内川地区であり、広大な竹林が広がる。その一方、かまん谷川・内川・犀川が形成した侵蝕や複雑な河岸段丘により起伏が激しく、加えて冬季は積雪・凍結するため、ループさせることで交通の安全を図ったのだろう。

なお、「環状学術研究軸を形成する学術ロード」は1996年時点で既に頓挫の様相で、整備はこの別所・天池線だけで終わりそうな気配だ。

路線市道2級幹線366号別所・天池線
所在地石川県金沢市山川町
回転度285度
完成時期1999(平成11)年供用開始
実走行日2009-10-11
全景写真
(2009年10月11日撮影) 山川隧道北側坑門拡大する
山川隧道北側坑門。交差する道路は竹藪に隠れて見えない。
山川隧道坑口上から眺める拡大する
山川隧道北側坑門脇の歩行者用階段上から眺める。坑門が坑口から張り出しているのは竹林特有の土砂災害対策か?それとも雪崩対策か?

(2023年11月4日撮影) トンネル銘板。
14年経過した山川隧道北側坑門。反対側の坑門には内川小学校児童によるレリーフがある。レリーフに刻まれた絵は隣接する平栗に群生するカタクリだ。
山川隧道ループ空撮拡大する
山川隧道ループ空撮。向こう側(南側)の道路が見えないのでループしている様子がよくわからないのが残念だ。