柳沢峠ツインループ(国道411号 上萩原バイパス)

八王子と甲府を結ぶ国道411号の柳沢峠南側は幅員狭隘や急カーブに加え、豪雨等による土砂流出が頻発していたため、これらを解消すべく上萩原バイパスが整備計画された。全体を3期に分け、第Ⅰ期区間は1988(昭和63)年に着手された。2010(平成22)年に始まった第Ⅲ期区間は、曽根丘陵起震断層の大菩薩嶺西活動セグメント(曽根丘陵断層帯、大菩薩嶺西側断層ともいう)による断崖を二連ループで克服する。

第Ⅲ期区間は現道を活かしながら新道の路盤工事や、新道への切り替えによって旧道になった区間を取り壊して新道の路盤工事を行う等、長期通行止めを回避する様々な工夫が施され、計3回の段階的暫定的部分供用により全ての橋梁・トンネルが完成した。と書いても文章では想像しにくいので、下の経路変遷を見て欲しい。

2020年7月時点で峠近くの道路拡幅工事が継続中、さらには旧道の廃道化工事(植生回復工事)が続くので、完工はまだもう少し先になるだろうが、「のの字」としては現在の状態が完成形となる。

このように標高差を二連ループで克服する例は少なく、一般車が通行可能な道路では他には奥出雲おろちループだけである。

※ 秩父太平洋セメント 叶山鉱業所の白水隧道も二連ループだが、一般車は通行できない。

上萩原バイパスの第Ⅱ期区間着工までは、急カーブ・急勾配ゆえにスピードを出せない車が多くストレスが溜まる区間であったが、第Ⅲ期区間まで開通したことにより積極的に走りたい快走路になった。天気が良ければ、柳沢峠から甲州方面へ向かって走ると雲海に浮かぶ富士山も見える素晴らしい道だ。「豪快なのの字」を味わうなら甲州から柳沢峠へ向かって登るほうをお勧めしたい。

路線国道411号
所在地山梨県甲州市塩山上萩原
回転度ループトンネル(峠側):240度
ループ橋(下側)   :260度
完成時期ループトンネル(峠側):2019年11月11日供用開始
ループ橋(下側)   :2020年5月15日供用開始
実走行日2020-07-12
全景写真

ループ橋(下側ループ) 2020.07.12撮影

柳沢峠ツインループの柳沢第二トンネルと金運橋を眺める拡大する
柳沢峠ツインループの柳沢第二トンネルと金運橋を眺める。この標高差には圧倒される。
柳沢第二トンネルの柳沢峠側坑口。十分な道路幅員になって、中央線をはみ出して走行する車はいなくなった。
完成は2014年だが施工板が取り付けられたのは最近のことらしく、まだ輝いている。
下側(盆地側)から眺める金運橋。ゆったりとしたS字、片勾配の左右切り替わりが美しい橋である。
峠側から眺める金運橋拡大する
峠側から眺める金運橋。
金運橋上から柳沢峠ツインループ交差部を眺める拡大する
金運橋上から柳沢峠ツインループ(下側ループ)交差部を眺める。
橋名板がまだ取り付けられていなかったので橋歴板を撮ってみた。なんで「金運」なんだ?
柳沢峠ツインループ(下側ループ)全景拡大する
柳沢峠ツインループ(下側ループ)全景。金運橋供用開始からまだ2ヶ月、旧道がしっかりと残っている。

ループトンネル(柳沢第一トンネル) 2020.07.12撮影

柳沢第一トンネル下側坑口前に設置されている警戒標識。なんとなく、立体感。
柳沢第一トンネル下側坑口。トンネル上の道路は拡幅工事中、トンネル右側は廃道化工事中。
柳沢第一トンネル内から眺める。この30|35ってどういう意味なんですかね?
→覆工コンクリートの厚さ(単位はcm)だそうです。詳しくは↓の7743さん投稿コメントを参照ください。
柳沢第一トンネル峠側坑口。トンネル坑口銘板を隠して、これが第一トンネルか第二トンネルかを当てられたら凄いぞ。
トンネル施工板は第一トンネルと第二トンネルでかなり違う。
柳沢峠ツインループ(峠側ループ)全景拡大する
柳沢峠ツインループ(峠側ループ)全景。

全景 2020.07.12撮影

柳沢峠ツインループ全景拡大する
柳沢峠ツインループ全景。天気が良い日にドローンを飛ばしたい。
上萩原バイパス全景拡大する
上萩原バイパス全景。これが曽根丘陵起震断層の大菩薩嶺西活動セグメントだ。

施工中の様子 2017.11.12撮影

廃道化工事の現場。これじゃどこで撮ったかわからないぞ。個人的には、渋滞最後尾でバランスを崩して立ちゴケした思い出のカーブである。(この急勾配なので、バイクを起こすのに苦労した)
上の廃道化工事現場は柳沢第二トンネル下でした。
施工中の柳沢峠ツインループ全景拡大する
施工中の柳沢峠ツインループ全景。4枚上の写真撮影位置とほぼ同じ。
柳沢第一トンネルの峠側坑口付近にあったヘアピンカーブ拡大する
柳沢第一トンネルの峠側坑口付近にあったヘアピンカーブ。6枚上の写真に写っているカーブだ。

走行動画もつけておく。