道の島ループ橋

奄美大島の最大都市奄美市(旧名瀬市)の中心街から国道を南に向かって走ると、急斜面に張り付くループ橋が見える。山の上に作られた名瀬ヘリポートと市街地を連絡する市道を円滑に通行できるよう線形改良され、最も急峻な斜面の標高差50mを直径58mと直径82mの二重ループで解決した。土工部を含む全長は約580m。(当社スタッフの現場測定による)

島が点々と連なり日中や薩摩琉球交易ルートの役割を持っていたことから、古来、南西諸島特に薩南諸島は「道の島」と呼ばれていた。現代ではいくつかの在奄美企業名に付けられている。

ガイドブック等には必ずと言っていいほど掲載されており、奄美大島を代表する橋のひとつになった。七滝高架橋に匹敵する規模のループ橋であり、ファンにとっては一度は見ておきたい橋梁と言えるだろう。

道の島ループ橋周辺の道路整備変遷

1966(昭和41)年02月03日 | 1978(昭和53)年01月23日 | 2012(平成24)年12月07日

1966(昭和41)年02月03日 山田線は旧道もまだない。1973年頃にできたとの住民情報を得たが確認する手立てがない。ただし、山田線沿線にある特別養護老人ホーム奄美佳南園(1974年開設)や県営山田住宅(1976年建設)と符合するので、概略は合っているだろう。
1978(昭和53)年01月23日 旧道は普通車の離合が困難だが、23年間それで頑張った。
2012(平成24)年12月07日 現代。道の島ループ橋建設がどういう順序で進められたのか大いに興味が湧く。工程表はどこかに残っていないだろうか。

ループ橋情報の整理

2つの土工部と3つの橋梁で構成され、全体を「道の島ループ橋」と呼んでいる。ループ橋の途中で旧道(現在は市道山田7号線)が分岐、橋の上端で再度合流する。

構成 橋名 形式 完成 橋長 幅員
道の島ループC橋 連続箱桁橋 1995年 161m 9.0m
道の島ループB橋 連続箱桁橋 1995年 119m 10.0m
道の島ループA橋 連続箱桁橋 1995年 44m 9.3m
路線市道山田線
所在地鹿児島県奄美市名瀬平田町
回転度780度(2.17回転)
完成時期1996(平成8)年12月供用開始
実走行日2024-02-23

現地写真

道の島ループ橋全景拡大する
道の島ループ橋全景。ガイドブックに掲載される写真はだいたいこの構図だ。
道の島ループ橋仰瞰拡大する
道の島ループ橋仰瞰。道路ファン・橋梁ファンとしてはこの構図ですかね。
道の島ループ橋上から平田町の街並みを眺める拡大する
橋上から平田町の街並みを眺める。
橋脚の形式がひとつづつ違うことに注目拡大する
橋脚は2層ラーメン式✕1、1層ラーメン式+柱式✕1、1層ラーメン式✕1、柱式✕2が配置される。ヘンタイの極み、最高にエロい。
B橋とC橋のクリアランスはおよそ12m。
道の島ループ橋俯瞰拡大する
道の島ループ橋俯瞰。これぞじっくり見たかった構図。橋梁の構成を舐めるように眺めたい。
道の島ループ橋鳥瞰拡大する
道の島ループ橋鳥瞰。橋上区間は30km/hに制限されている。
橋の内側に歩道が付帯していて、高欄に奄美の文化が描かれたタイルが嵌め込まれている。全15組。
橋脚には奄美六調(奄美のダンスミュージック)のレリーフ。バブル景気の痕跡と言えるかも知れない。
親柱に橋名板とレリーフ。橋歴板はかろうじてC橋だけ撮影できた。橋梁探索・撮影は落葉する冬がベストシーズンだが、奄美にその常識は通用しない。