旧明宝村の最奥部、元・飛騨美濃有料道路料金所近くの吉田川に設けられた上坂本砂防堰堤(1972(昭和47)年11月竣工)に付帯設置された魚道がループしている。岐阜県なので、当然の如く昭和コンクリート工業のトラック式スパイラル魚道である。
晩秋の訪問で、雑草はすっかり枯れて魚道全景を見通せることを期待したが、伸び放題の枯雑草に阻まれて残念な眺めであった。
本堤と副堤合わせて11mという大きな高低差をできるだけ小さな構造物で克服するためにループ魚道方式が採用されたとのこと。本堤と副堤との間隔が18mほどであるのに対し、魚道延長は163.1m。そりゃ工夫が必要だ。
この砂防堰堤の上流400m地点ではかなり昔(数百年前?)から斜面の崩落が続いており、減勢の仕組みが不可欠なのだろう。訪問時は砂防堰堤にたまった土砂で魚道出口が河道から分離されている状態であった。土砂の搬出作業は継続的に行われているようだが、たぶん、永遠に終わらない。
構造 | トラック式スパイラル魚道 |
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水系 | 木曽川水系吉田川 |
所在地 | 岐阜県郡上市明宝奥住 |
回転度 | 450+1350度 |
完成時期 | 2002(平成14)年10月 |
訪問日 | 2017-11-04 |
全景写真 | |
拡大する 上坂本砂防堰堤魚道全景。季節的なものだろうか、魚道に水が流されておらず、魚道として機能していない。 ループ魚道の上流側。上側には遡上観察窓が、下側には点検口がある。 拡大する 下流側から眺める上坂本砂防堰堤魚道。現地解説板によれば、植栽により木陰を作り、水温上昇や明るさを抑え魚の遡上を助ける役割を果たすつもりだったようだが、植栽よりも雑草のほうが立派に育っている。 魚道途中から下流側を眺める。 魚道入口付近を見上げる。間伐材を羽目板代わりにしているようだが。 魚道入口付近から砂防堰堤の本堤と副堤を眺める。副堤直下に魚道入口が設けられているが、果たして魚はこれを遡上すればよいと判断してくれているのか? 本堤の魚道出口。堆積土砂が河道と魚道を分断している。 本堤上にあったダム銘板。たぶん堰堤工と書かれている。 |