大平川一号砂防ダム魚道

(初訪:2016年8月14日 初回記事公開:2016年12月23日)
北海道島牧村を流れる二級河川・大平川を河口から5kmほど遡ったところにある一号砂防ダムにループ魚道が設けられている。
※国土数値情報では「平川」になっているが、地理院地図や道庁の資料では「平川」である。河口近くに立てられている川看板やその他の現地看板でも表記が混在していたが、本記事では砂防ダム銘板の標示を正として扱う。

ダム本体は、1987(昭和62年)着工、1996(平成8年)完成、堤高18m、堤長158m。
魚道はダム堤体と同時に作られたものか後付けか不明だが、現場構造を見る限り、同時に作られた可能性が高い。

今までの取材で国内のループ魚道は長円か円形の2種類(長円:昭和コンクリート工業方式、円形:大林組方式)しかないと思っていたが、ここの魚道はそのどちらでもない。横断面が四角いのだ。ダム完成の1996年時点で設けられていたとすれば、国内でも指折りに古いループ魚道という可能性がある。(同じく横断面形状が四角である古平町の沖村川砂防堰堤魚道は1998年完成)

どのような構造になっているのか覗き込みたいところだが、下は深いヤブで接近できず、上は立派な立入制限柵のおかげでダム天端にさえ近づくことができない。ダムの施工を担当した星組土建(寿都町)・スガワラ(黒松内町)に何らかの情報があると思ったが、両社ともウェブサイトがない。調査手詰まり。
かくなる上は、ドローンを手に入れてだな(以下略)


(再訪:2017年7月9日)
というわけで、ドローンを手に入れて再訪してきた。(どうだ、この行動力)

魚道の流路を上から見ることでいろいろな疑問が払拭された。今回は下草が刈られていて手摺越しに魚道を肉眼で確認することもできた。

  • 堤体に開けられた孔は意外に小さく、幅30cmほど。
  • 心柱(螺旋の中心部)は空洞である。流量過多の場合には溢流して魚道があふれるような事態は避けられるようになっている。
  • 魚道形式はプールタイプの全越流式だが、水の流れはほぼ潜孔からの流れだけで、越流していないプールが部分的に存在した。これは魚道として機能していない可能性が高い。土砂等の堆積物が流れを妨げていることが原因だろうか。

構造その他の型式
水系大平川水系大平川
所在地北海道島牧村字軽臼岱
回転度630度
訪問日2016-08-14
全景写真
初訪:2016年8月14日 国道229号の新大平橋南詰で大平川西の沢線林道へ入る。大平川西の沢線林道は総延長34km。全ゲートが開いていれば、JR蕨岱駅近くの道道9号まで走ることができる。ゲートはいくつか設けられているが、国道229号と一号砂防ダムの間には1件のみ。ランボルギーニなら楽々くぐれる高さのゲートだ。
大平川一号砂防ダム全景拡大する
砂防ダム到着直前、大平川に架けられている大平大橋を渡る。大平川一号砂防ダム全体を眺めることができる。ガードレールが黄色ということは、この周辺は山口県からの入植地だろうか(違)

大平川一号砂防ダム貯水池全景拡大する
大平川一号砂防ダム貯水池全景。砂防ダムに貯水池があるってのは、ちょっと違和感。長い時間をかけてここに石砂が溜まるのだろうか。
堤体に取り付けられた魚道拡大する
堤体に取り付けられた魚道。かなりしっかりした造りである。
大平川一号砂防ダム魚道全景拡大する
大平川一号砂防ダム魚道全景。落差10m程度はありそうだが、魚道の規模が大きいのでループは2回転未満である。そして、何よりも横断面が四角いことが特徴的である。


再訪:2017年7月9日 大平川一号砂防ダム魚道を空撮拡大する
大平川一号砂防ダム魚道を空撮。この構図が欲しくて航空戦力の配備に至ったのである。
大平川一号砂防ダム魚道に接近拡大する
大平川一号砂防ダム魚道に接近。だが、航空法の制限によりここまでが限界。とは言え、上2つのプールが越流していない様子等、状況をつぶさに観察できる。
手摺越しに肉眼で見える範囲のプールをズーム撮影。こちらもほとんど越流しておらず、これでは魚は遡上できないだろう。

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