南海電鉄高野線初芝駅の東にある閑静な住宅地にあるロータリー交差点が、2014(平成26)年9月1日の改正法施行と同時に環状交差点に指定された。
初芝駅は1898(明治31)年3月に当時の高野鉄道西村駅として開業、鉄道会社合併を経て1935(昭和10)年8月に現在の駅名に改称された経緯を持つ。阪急電鉄の成功に触発された在阪鉄道各社が住宅経営に乗り出し、南海鉄道(当時)も昭和5年に企画を開始、昭和9年にこの地で住宅団地建設に着工、昭和10年5月16日に「初芝住宅地」第一期工事完成式を挙げるに至った。農村地帯であった西村のイメージチェンジを図り住宅団地をPRするため、駅名を改称したそうだ。
この少し前の1931(昭和6)年、関西土地会社が二つ隣の駅・北野田駅西側に大美野住宅地を開発分譲した。ヨーロッパ視察旅行から帰ってきたばかりの同社員による設計で、街の中心部にロータリーを配して放射状の街路設計となっている。これが好評だったことを南海鉄道が意識したのだろう。かくして、6枝のロータリー交差点が完成した。
現在、中央島には手入れされた植栽があるがフェンスで囲まれていて、やや殺風景な印象を受ける。また、「歩行者は歩道を歩きましょう」という看板が6枝ともに目立つ位置に掲げられており、ショートカットして反対側へ渡る歩行者が多いことを示している。
流入路は府道の2本は2車線で市道の4本は1車線である。当然ながら府道の交通量が圧倒的に多く、かつ高速で環道に突っ込んでいた。訪問は土曜の朝だったのでその様子だけで判断するわけにはいかないが、ラウンドアバウトとして機能しているか少々怪しい。
昭和時代までに建設された住宅団地のロータリー交差点の地下には防火水槽が設けられていることが定番だが、ここにはないというのが特徴だろう。また、住宅団地分譲時点でメインストリート(現在の府道190号)は舗装されていたというから驚きだ。昭和10年で、だ。
ここから東300mに、住宅営団開発による東初芝住宅入口のロータリー交差点が存在するが、供用開始時期やコンセプトが異なるので当サイトでは別の物件として扱う。
カテゴリー | ラウンドアバウト |
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路線 | 府道190号西藤井寺線 |
所在地 | 大阪府堺市東区日置荘西町1丁 |
完成時期 | 1935(昭和10)年5月 |
実走行日 | 2018-01-06 |
全景写真 | |
拡大する 南海初芝ロータリーを西側から眺める。両側に立つ電柱が速度抑制効果を発揮しているかも。 北西側から眺める。うーん、右のお宅のブロック塀が視界を遮っているぞ。 北東側から眺める。こちらは幾分見通しがよい。 拡大する 南海初芝ロータリーを東側から眺める。ここを猛烈なスピードで流出してゆく車が多い。ここを渡る歩行者はほとんどいないからだろうか。 南東から。路面に「止まれ」ペイントの鮮やかな跡があった。 南西から。ここも見通しが悪い。ラウンドアバウトになったとは言え、環道へ進入するときは事実上一時停止を強いられる。 中央島に設けられた看板。歩道が整備されているんだから歩道を歩きましょうね。大した遠回りじゃないよ。 初芝駅東側に2件の円形交差点。赤枠内の円形交差点がこのページで紹介した南海初芝ロータリー(ラウンドアバウト)である。 |