栗本堰円形分水工

東北道と東北中央道が分岐する福島JCT近く、松川と並行して流れる栗本堰幹線水路に設けられた分水工。
元は19世紀初頭に栗本三左衛門が開鑿した用水だが、昭和初期の時点で3つの水利組合(栗本堰・一の堰・笹谷大堰)がそれぞれで取水するようになり、それ故の水不足・用水維持の高コスト対策として県営事業で松川砂防堰堤を流用して取水するよう改良された。松川砂防堰堤から1.7km下流に位置する。

戦後すぐの施工とは思えぬ高品質なコンクリートであるが、大規模改修された記録はない(少なくとも私は見つけられなかった)ので、稼動から70年近く経っていることになる。3つの用水を1本化したのだから基幹用水は3本に分水されると考えるのが自然だが、ここで2本に分水されている以外には分水工はないらしい(小規模なものを除く)。耕地区画整理は1980年代までほとんど手付かずだったようなので、水利関係の整理が先行して行われたということか。

円形分水工が設けられた当時の周辺は水田と桑畑であったが、1960年代から白桃栽培が推奨されるようになり、主に桑畑が桃畑へ転換されている。

管理者福島市土地改良区
所在地福島県福島市大笹生長老檀
完成時期1940年代後半
訪問日2018-05-27
全景写真
栗本堰円形分水工全景拡大する
栗本堰円形分水工全景。水土里ネット福島のウェブページによれば28口のオリフィスが18口と10口に分水されているとのことだが、現場で確認したところ、(小15+大2):(小7+大2)の分水比率であった。
栗本堰円形分水工の笹谷方面水路ゲートバルブ拡大する
栗本堰円形分水工の笹谷方面水路ゲートバルブ。スピンドルの発錆がなかなか激しい。もちろん操作してはいないが、一人でハンドルを回せるだろうかと少し心配する。
呑口部の流木除けもなかなか年季が入っている。
傍らに置かれた水神碑。あまりに達筆で読み取れないのだが、いつ頃のものだろうか。