室積荒神堂ロータリー

山口県光市の南部、陸繋島とその先に形成された陸繋砂州からなる地形が特徴的な室積半島。
その付け根にあたる地にロータリーっぽい不思議な交差点がある。

元は「荒神」が祀られており、戦前は境内の外周道路が存在していた。中央島には当時の灯籠や玉垣(神社の周囲に置かれる垣根)等に使われたと見られる石柱が現在も残っている。1964(昭和39)年、隣接地に八幡製鐵新沖田アパートが建設されることになり、それに合わせて国道に接続する南西方面の道路を拡幅したことによりロータリー化された。ただし、警戒標識「ロータリーあり(201の2)」は設置されていない。

現地聞き取り調査の結果、荒神堂の社祠がなくなった理由は

  • 火事で焼けた
  • 大雨か台風かで倒壊した
  • 祟りが続いたので近くの八幡神社へ移して手厚く祀った

等、現地でも既に記憶の風化が始まっているらしく、明快な答えを得ることはできなかった。ただ、道路拡幅の際に境内相当部分が残されたことから、地元の強い要請があったと考えるべきだ。詳しく聞くことは憚られたが、中央島の土地は入会地(地域の共同所有、財産区)になっているのだろう。

八幡製鐵から新日鉄に変わっても社員・工員の拠点だったが最近になって社宅はほとんど消滅した。訪問したのは土曜の昼であったが、拡幅された道路は閑散としているしロータリーを回る車も少ない。しかし、今後社宅跡地がどのように活用されてもこのロータリー交差点はこのまま残ってゆくだろう。

ロータリー交差点とは関係ないが、近くの室積海岸は素晴らしい白砂青松の浜だ。浜でのんびり海を眺める時間を確保して現地を訪問すべきだったと後悔している。

カテゴリーロータリー
路線市道
所在地山口県光市室積1丁目
完成時期1964(昭和39)年
実走行日2018-05-19
全景写真
西側から眺める室積荒神堂ロータリー拡大する
室積荒神堂ロータリーを西側から眺める。南国感漂うシュロ並木がいい。
国道から分岐して150mほどは片側2車線だが、環道に接続する50mほど手前で特に案内や規制なく車線が減少する。
北側から眺める室積荒神堂ロータリー。環道は一方通行で規制されているわけではないが、逆走しづらい構造だ。
南東側から眺める。こちらの道路から右折する場合のみ、中央島の手前を進む(環道を逆走する:ただし違反ではない)車がありそうだ。中央島には、クスノキとセンダンの大木が茂る。荒神堂が存在した当時からの樹齢数百年の木だろうと思っていたが、その直後の現地聞き取りの結果、まだ100年も経っていないものらしい。
中央島に残された荒神堂の玉垣等。建立?寄進?された年が刻まれているようだが、「安永」っていつだよ?(1772年から1781年までだって)

【ロータリー走行動画】