寧静ループ橋

(初回記事公開:2004年8月23日 記事全面書換:2021年7月10日)
熊本県と宮崎県を結ぶ国道325号は1970(昭和45)年に国道に指定されたが、線形不良や離合困難箇所が多く、冬期は積雪や路面凍結による通行規制がある「酷道」であった。

阿蘇と高千穂という九州でも有数の観光地を結び広域観光ルートの形成が期待できることから、熊本県側は草部バイパスが、宮崎県側は田原バイパス(※)が、それぞれ1988(昭和63)年に事業化、いくつかの工区に分けて順次施工され、1997(平成9)年11月14日に寧静ループ橋を含む区間が開通した。

※ 田原バイパスの全線開通は2004(平成16)年4月

阿蘇外輪山・祖母山・枡形山に囲まれ、高千穂峡(五ヶ瀬川)の上流の一部が深い渓谷を形成しており、草部バイパス・田原バイパスはその尾根筋をトレースするように引かれているが、単純な線形ではここ熊本県・宮崎県境付近の標高差を克服できず、ループを描くこととなった。半径95mは国内有数の大径ループ橋だ。

ループ交差部の少し上にある駐車場(熊本県側)に設置された記念碑には次の言葉が刻まれている。

寧静ループ橋
「寧静とは安らかに治まること」「穏やか」
命名理由
天孫降臨の連山を見渡すこの橋
は仙人住む鄙の里に大いなる夢
と希望、勇気と知恵を与え
生命の創造を興し二十一世紀に向
けた両県、町の任務の繋を持つ
願いを込めた言葉を取って寧静とし
橋名を「寧静ループ橋」と命名したものです
平成九年十一月吉日  高森町

 

路線国道325号
所在地熊本県阿蘇郡高森町菅山/宮崎県西臼杵郡高千穂町河内
回転度300度
完成時期1997(平成9)年11月14日供用開始
実走行日2004-08-23
全景写真
(2004年8月23日初訪) 半径95m、巨大な寧静ループ橋拡大する
300m離れた位置から寧静ループ橋を眺める。明らかに、巨大。
普通のカメラじゃのの字を描いている様子を撮影できない。

(2008年5月4日再訪) ループ交差部の少し上にある駐車場(熊本県側)に設置された記念碑。
魚眼レンズをもってしても画角に入り切らない寧静ループ橋拡大する
魚眼レンズをもってしても画角に入り切らない寧静ループ橋。

(2021年4月2日再訪) 橋名板は親柱に直接刻まれている。橋歴板へのアプローチは至難の業。
寧静ループ橋俯瞰拡大する
ドローンを使って、ようやく全貌を写すことができた。記念碑の言葉通り、この橋のおかげで「安らかに治ま」ったことだろう。