大河原第1砂防堰堤魚道

「落ちたら死ぬ!!」の看板や洗い越し(路上河川)で有名な国道157号。その冬季閉鎖区間内、根尾西谷川の上流に設置された大河原第1砂防堰堤に付設されている魚道がループしている。

砂防堰堤の竣工は1992(平成4)年9月、魚道の竣工は1994(平成6)年12月だが、完全な後付ではなく、砂防堰堤の工事を先行させたと思われる。

施工者は確認できていないが、ループ魚道の製造元・昭和コンクリート工業のお膝元であり、同社が関与している可能性が高いものの、桁が鋼製である。同社がトラック式スパイラル魚道の特許を出願した1999(平成11)年8月よりも前に竣工していることから想像すると、実験的な施工の可能性 がある。継続調査事項だ。

螺旋階段歩道橋の如く魚道ブロックが支柱を取り囲むように配置されている。
その他の特徴として、将来の土砂堆積を考慮して魚道出口(堤体貫通部分)を上下2箇所に設けていることが挙げられる。堰堤高は13m、魚道高さは約9m。

国道157号から見えるので、通りがかる際には自然と足を止めることになるだろう。

越美山系砂防事務所のウェブサイトには、実験的取り組みを匂わせる記述がある。

構造鋼桁トラック式スパイラル魚道
水系木曽川水系根尾西谷川
所在地岐阜県本巣市根尾大河原
回転度360度
完成時期1994(平成6)年12月
訪問日2017-11-03
全景写真
大河原第1砂防堰堤と魚道の全景拡大する
大河原第1砂防堰堤と魚道の全景。この写真は国道上から撮影した。
魚道の直線区間が長いため、点検用キャットウォークが設けられている。
下流からまっすぐ登ってきた魚道は、ここで下側の魚道出口に接続する。
砂防堰堤の堆砂はまだ満杯には達しておらず、平時は下側の魚道出口が機能している状態だ。下の写真のダムフェンス(黄色い樹脂製の流木止め)付近に出口が隠れているはず。
しかし、この流量では鮎・天魚・岩魚は遡上できないだろ。
堰堤銘板。施工者名が隠れていることに気づいたのは、東京帰着後。再遠征せにゃ。
堰堤の側に設置された銘板。近隣の長嶺小学校の児童が1992年に揮毫したことが記されている。なお、長嶺小学校は1995年に樽見小学校へ統合されたが、校舎は根尾長嶺に現存している。
銘板は砂防ダム、看板は砂防堰堤。一般のダムと区別するため、堤高10m以上のものは砂防堰堤と呼ばれるように近年変化しているためである。堤高10m未満の砂防施設は床固工と呼ばれる。