越前梅浦ループ

(2010年5月4日初版記事公開/2024年5月8日改題・記事全面書き換え)

浜茹で越前ガニ・スイセン・呼鳥門・灯台等で名高い越前岬に近い梅浦は越前町の中でも有数の人口でありながら県内いずれの都市からも遠く離れ、生活(特に緊急車両の通行)や観光を支えるために急勾配・急カーブの改良が強く望まれていた。

その施策として一般国道365号梅浦バイパス第1期の事業着手は2002年。橋梁2基と洞門1基が施工され、2006(平成18)年7月21日に開通した。前回取材時は第2期工事があることを知らなかったものの、現場を見てそれを予感した。第2期工事は2011(平成23)年に事業着手、2024(令和6)年3月10日に全線供用開始された。

第1期工事では栃尾平橋がループを構成していたが、第2期工事ではそれが当サイトのループの定義から外れて、新たに越前梅浦大橋と越前梅浦トンネルがループを構成することとなった。新道は正真正銘ののの字だし、旧道を通っても第2期工事前ののの字を体感できる。

日本国内に数あるのの字の中でもこのような事例は初めてで当サイトでどう記述すべきか困惑するが、第1期工事によるのの字と第2期工事によるのの字を併記し、特異な例であることを記録に残したい。

なお、梅浦バイパスの完成に伴い、旧道区間は上高平2号線として町道路線に認定された。訪問時点では残工事施工中のため通行できなかったが。

梅浦バイパスを構成する橋梁・トンネル全容

橋梁名 事業中の呼称 全長 形式 完成年月
梅浦カルバート 10m カルバート 2005/??
安野橋 1号橋 160m 4径間連続RC中空床版橋
3径間連続鋼鈑桁橋
2003/10
栃尾平橋 2号橋 116m 2径間連続PC箱桁橋 2005/??
布ヶ滝橋 3号橋 76m 2径間連続PCラーメン橋 2023/08
越前梅浦大橋 4号橋 76m 2径間連結PCコンポ橋 2023/11
5号橋 189m 4径間連続鋼細幅箱桁橋
越前梅浦トンネル 215m NATM機械掘削 2022/02

第2期工事前後の地理院地図変化


梅浦バイパス第2期工事前後の地理院地図変化マウスオーバー(スマホでは画像タッチ)で新旧地図を切り替え。
のの字を描く位置が変わるという画期的な事例。2024年4月現在で旧道区間が国道として着色されているが、2024年3月10日付で町道に認定された。

第1期工事(栃尾平橋)

路線国道365号
所在地福井県丹生郡越前町梅浦
回転度260度
完成2006(平成18)年7月21日 正式供用開始
実走行日2010年5月4日
全景写真

鯖江から国道365号を西に進み、1989年完成の山中トンネルを抜けて約1kmで国道標識に到達する。この250m手前に旧道分岐がある。

栃尾平橋全景拡大する
栃尾平橋全景。橋梁下のカーブの三叉路は旧道接続地点だ。

のの字手前に青看板がある。「バイパス終点300m」が延伸を予感させる。

栃尾平橋下の旧道分岐拡大する
栃尾平橋下の旧道分岐。のの字は複雑な線形を描く。

安野橋橋名板。揮毫したのは書道家か?少なくとも大人の字だ。

栃尾平橋橋名板。揮毫したのは近隣小学生だろうか。栃尾平橋には完成年月を示す銘板がない。橋歴板は一般人が簡単に到達できない場所に取り付けられている。

第2期工事(越前梅浦大橋)

路線国道365号
所在地福井県丹生郡越前町梅浦
回転度310度
完成2024(令和6)年3月10日14時 正式供用開始
実走行日2024年4月29日
全景写真

梅浦側(西側)から眺める布ヶ滝橋全景。この橋はのの字の外側に位置する。

布ヶ滝橋の橋名板と橋歴板。橋名板はなんという名のフォントだろう?人が書いた文字ではないと思う。

越前梅浦大橋全景拡大する
鯖江側(東側)から眺める越前梅浦大橋全景。青看板の橋とトンネルの位置関係がリアルだ。

越前梅浦大橋の橋名板。橋歴板は見つけられなかった。

鯖江側(東側)から眺める越前梅浦トンネル坑口。トンネル内を含むループ部の曲率は半径100m。なかなかの急カーブだが、設計速度が50km/hなので道路構造令に準拠している。

越前梅浦トンネル銘板。こちらはフォントではなく中高生が書いたように見える。

越前梅浦トンネル坑口を梅浦側(西側)から眺める。坑口直前で旧道が分岐し、坑口直上を通っている。

梅浦ループの交差部拡大する
梅浦ループの交差部。越前梅浦大橋がまたぐ。

梅浦バイパス第2期工事完了後空撮拡大する
梅浦バイパス空撮。第1期と第2期両方ののの字をひとつの構図に収めるのは難しかった。マウスオーバー(スマホでは写真タッチ)で橋名を表示する。