安曇川右岸幹線用水路 円形分水工

琵琶湖の西岸、安曇川河口から約13kmの地点に設けられている安曇川合同井堰で取水され、安曇川分水工で左岸幹線用水路と右岸幹線用水路に分水された水路に設けられた円形分水。

この円形分水で鴨川幹線と三重生井幹線に分水している。
現場で除草作業をしていた方に聞いたところ、この鴨川幹線(安曇川町田中の西部地区:馬場区、佐賀区、三田区等)への分水が重要で、春と夏に水路の清掃や除草を地域住民総出でやっているとのこと。

米軍撮影・国土地理院公開の空中写真によれば、1956(昭和31)年5月時点で存在している様子がわかる。昭和27年の台風被災を受け、昭和28年から3ヶ年で県営災害復旧事業が行われており、このときに併せて整備されたものだろうか。

現在の円形分水は見るからに最近の施工であり、二代目だろう。現設備がいつ完工したのか、現場に何か情報があるかと思って探してみたが皆無だった。県営かんがい排水事業が継続中なので沿革史が出版されるのはまだ当分先だろう。ただ、水土里ネット安曇川沿岸のウェブサイトはとても充実しており、水路のルートや受益地を容易に確認することができる。

訪問時は、右岸幹線用水路の上流で工事を行っているために通水されておらず、おかげで構造を詳しく観察することができた。

管理者安曇川沿岸土地改良区
所在地滋賀県高島市安曇川町南古賀
訪問日2015-11-22
全景写真
安曇川右岸幹線用水路 円形分水工全景。分水比率は目分量で7:5程度か。
円形分水工から上流側を眺める。
円形分水工直前に呑口がある。呑口の左側にスロープがあるが、流された動物がここから這い上がるための工夫とのこと。猪・鹿・狸がよく流されているらしい。
分水された鴨川幹線。
三重生井幹線側から円形分水を眺める。非潅漑期はゲートを開け、三重生井幹線へのみ通水するそうだ。
国土地理院公開の空中写真(1956(昭和31)年5月米軍撮影)では水路周辺の木が刈られているように見える。この頃に新設されたと考えるべきか。