1960年代後半まではまともな港が存在しなかった隠岐・島前の知夫里島(ちぶりじま)。
1968(昭和43)年に来居港が県管理の地方港湾に指定されたことにより、段階的に港湾整備が進められてきた。
1991(平成3)年から1999(平成11)年にかけて、来居港と県道322号知夫島線を連絡する全長440mの臨港道路が整備された。その一部に知夫里大橋が含まれている。
隠岐の各島は海に面した平地がほとんどなく、あってもそのような場所は遠浅なので船舶の出入港に適さない。知夫里島もそうである。海底を浚渫するよりは、陸上の連絡路を整備するほうが難易度が低いということだろう。ただ、ループ橋を作らねばならないようなアクセスの不便な来居という地がなぜ港に選ばれたのか。
知夫里大橋は全長180m、半径約30mでループを描きながら標高差50mを一気に駆け上がる。臨港道路の終点付近(県道との交差点付近)で県道旧道が合流する。隠岐汽船や島前内航船が入港する前後には知夫里大橋で渋滞が発生するほどの賑わいとなる。離島はどこでも同じだが、とりわけこの島は船が着くのに合わせて島内が動き出し、出航と同時に静穏になる。
橋の直下にフェリーターミナル(というほど立派なものではなく乗船待合室と言うほうがしっくりくる)があるのだが、訪問時は建て替え工事が進められていた。
また、2017年から3ヶ年計画で耐震補強工事が施工される予定。
なお、この来居港臨港道路・県道の一部区間・2006年に開通した知夫漁港臨港道路の計2.8kmだけが島内の2車線道路である。そして、島内(=村内)に信号機はない。