浜坂歩道橋

JR山陰本線 浜坂駅 の西300m、国道178号と兵庫県道127号浜坂港浜坂停車場線をまたぎ、町立浜坂北小学校の校庭に食い込むように架けられている横断歩道橋の昇降スロープ両端がループしている。

2006年のツーリングでここを通過したときに、螺旋階段歩道橋であることに気付いたにも関わらず、先を急いでいたので立ち止まらなかった。その後も何度か近くを走行する機会はあったが、立ち寄ることはなかった。

2020年1月、新型コロナなんか遠い国の疫病と高をくくっていた頃、春のツーリングルートを検討中に偶然読んだ兵庫県庁の文書に不穏な空気を憶えた。

県政情報・統計(県政情報) > 行財政・法規 > 県政改革の推進 > 平成29年度事業評価 の 各部投資事業審査会 – 県土整備部審査会 の審査事業のひとつ 10 交通安全施設 一般国道178号 交差点改良事業にて、国道178号と浜坂踏切(町道浜坂第93号線)の三叉路前後200mに車線付加が計画されていると。

おい、待て。

あの道路に車線を付加する余白なんかなかったぞ。沿線家屋は立ち退き、歩道橋は改造されて螺旋階段じゃなくなるんじゃないか?

新温泉町議会でも議題に上がっていて、2018(平成30)年6月12日に開催された 新温泉町議会 第88回定例会議においても、平澤町議の質問に対して、町長が次のように答弁している。(会議録24ページ)

町内の中でも特に交通量の多いこの178号線、浜坂駅海岸線を児童全体が安全に横断できるよう、交通安全対策上、交通事故防止の観点から、歩道橋の設置はなくてはならない、そのように考えております。現在地を、橋を撤去するというのは土木の基本的なスタンスのようでありますが、歩道橋をなくしてはならない、そのように考えておりまして、現在、土木とも設置に向けて交渉をいたしております。場所を少しずらすにしても、歩道橋は、土木に積極的に設置をするよう交渉を進めていく予定になっております。

2006年に立ち止まって写真を撮らなかったことを激しく後悔するとともに、1日も早く再訪して撮影せねばと思っていたところ、ようやくその機会を見つけ、撤去済みの事態を心配しながら現地を再訪した。

結果は写真のとおり、撤去はもとより工事の気配もなく、「在りし日の浜坂歩道橋」を撮影することができた。

設置目的は言うまでもなく、1951(昭和26)年に現在地へ移転した浜坂北小学校(当時の校名は浜坂小学校)や、1976(昭和51)年に近隣3中学校を統合して開校した浜坂中学校の通学児童生徒の安全を確保するもの。道路事情を考慮すると1978(昭和53)年の架設は少し遅いように思うが、統合中学校開校による朝夕の通学自転車通行が多いことを念頭にスロープで設計できたので結果オーライか。

なお、歩道橋の色は2009年までは水色だったが、2008(平成20)年3月28日に近隣が「新温泉町浜坂味原川周辺地区歴史的景観形成地区」に指定された ※1 ことを踏まえ、茶系統での塗装を歩道橋管理者である兵庫県に要望し、現在の濃茶色になった。 ※2
※1 広報しんおんせん 平成20年4月号
※2 広報しんおんせん 平成21年8月号

ところで、浜坂駅海岸線ってなんだろう?
県道127号浜坂港浜坂停車場線は町道浜坂駅海岸線との重複路線なのか?

路線国道178号/兵庫県道127号浜坂港浜坂停車場線
所在地兵庫県美方郡新温泉町浜坂
回転度270度✕2
完成時期1978(昭和53)年
実走行日2022-05-05
全景写真
浜坂歩道橋の北側ループ拡大する
浜坂歩道橋の北側ループを眺める。県道127号浜坂港浜坂停車場線をまたぐ。
浜坂歩道橋の南側ループ拡大する
浜坂歩道橋の南側ループを眺める。国道178号をまたぐ。浜坂踏切(町道浜坂第93号線)への右左折レーンを設けるには国道の幅員が足りず、歩道橋は撤去もしくは位置変更の必要がある。
浜坂歩道橋上から北側ループを俯瞰拡大する
浜坂歩道橋上から北側ループを俯瞰する。北側ループは浜坂北小学校の校庭に食い込んでいる。
浜坂歩道橋全景拡大する
浜坂歩道橋全景。浜坂駅の南側からここまでの区間の国道の歩道は北側に設けられているので、その歩道につながる昇降階段がある。
歩道橋の橋名板は名称のみ。
その国道歩道につながる昇降階段は1998年9月に設置されたことを示す橋歴板。撮影したときは歩道橋全体の橋歴板だと思いこんでいたが、違った。
歩道橋を撮影していたら踏切が鳴ったので、撮り鉄してみた。鳥取0811発・浜坂行 526K?
浜坂駅(豊岡・京都方面)を眺める。のんびりした空気。