白鳥ループ橋

(2003年8月21日初版公開/2022年1月14日記事全面書換)
郡上市白鳥町(旧郡上郡白鳥町)は古来から北濃(郡上地域)と越前・大野地域を結ぶ玄関口で、長良川沿いと油坂峠の直線距離2.5kmに対して標高差約400m、単純計算なら16%の急勾配となることから、国道158号の前身・府県道福井八幡線の時代から九十九折の道路が拓かれていた。

油坂峠は日本海へ注ぐ九頭竜川水系と太平洋(伊勢湾)へ注ぐ長良川水系を分ける分水嶺で、峠直下に1889(明治22)年に油坂隧道が開通している。現役のトンネルながら幾度もの改良工事により当時の面影はない。

昭和の時代までは白鳥橋西詰の向小駄良交差点から西へ延びる道路が国道158号であったが、集落内を抜ける1.5車線のため離合困難であることから改良が進められ、奥美濃大橋そばの森下橋・1987(昭和62)年3月竣工や旧道合流直前の藤路大橋・1987(昭和62)年12月竣工を経て、白鳥ループ橋が1990(平成2)年3月に竣工し、向小駄良バイパスが開通した。

白鳥ループ橋と藤路大橋の間は歩行者・軽車両通行禁止だが迂回路は示されておらず、当時は歩行者・軽車両などいない想定だったことを表している。

並行して中部縦貫道の一部として自動車専用の高規格道路である油坂峠道路が計画され、1999(平成11)年4月に有料道路として開通したが、2005(平成17)年9月に道路公団から国交省中部地方整備局へ管理が移管されるとともに無料化された。この油坂峠道路も大きなS字を描いて標高差を克服している。

路線国道158号
所在地岐阜県郡上郡白鳥町向小駄良
回転度330度
完成時期1990(平成2)年3月竣工
実走行日2003-08-11
全景写真
(2003年8月11日撮影) 奥美濃大橋から眺める白鳥ループ橋全景拡大する
奥美濃大橋から眺める白鳥ループ橋全景。
白鳥ループ橋から藤路大橋(旧道合流)までの区間は歩行者・軽車両通行禁止である。後ろに写る橋桁は油坂峠道路だ。
"Loop" の部分が貼り替えられている。以前は何と書かれていたんだろう?
まさか"Ruupu"じゃないだろうな?

(2009年10月10日撮影) 県道52号白鳥板取線から白鳥ループ橋を仰ぐ拡大する
ループ交差部直下で合流する県道52号白鳥板取線から撮影。白鳥ループ橋の大きさを実感できる場所だ。

(2021年10月30日撮影) 白鳥ループ橋空撮拡大する
白鳥ループ橋空撮。峠までの標高差400mのうち、ループ橋で獲得できるのはわずか27mなのだ。背後には油坂峠道路の向小駄良高架橋や油坂第7橋(上路式ワーレントラス橋)が見える。
ようやく橋名板を一揃え撮ることができた。歩行者通行禁止区間だが停車は禁止されておらず、後続車両が来ないことを確認して撮影できる機会を伺っていた。