菖蒲谷池ループ(菖蒲ヶ丘函渠)

(2003年8月12日初版記事公開/2022年7月24日記事全面書換)
京都市の嵐山と高雄(国道162号)を連絡する全長10.7kmの一般自動車道である嵐山-高雄パークウエイの高雄寄りにのの字がある。当初、運営会社である西山ドライブウエイに問い合わせたところ、のの字や橋に特に名前はないとのことだったが、その後の調査で「菖蒲ヶ丘函渠」であることが判明した。

嵐山-高雄パークウエイは、工期:昭和38年8月~昭和40年11月、工事費:787百万円で施工され、1965(昭和40)年11月13日に開業した。

保津峡や京都市内の街並みを遠望できてお手軽に山岳ドライブっぽいことを楽しめる道路だが、残念なことに土日や夏休期間は二輪車走行禁止だ。さらに、一般自動車道なので125cc以下の二輪車・原付は通年通行できない。

初回訪問時は早朝ならこっそり通してくれることを期待してみたがダメ、平日に走行できる機会を探してようやく19年後に実現した。

菖蒲谷池は寛永年間に吉田光長・光由兄弟が角倉隧道と合わせて拓いたとされる溜池。
※ 保津川や高瀬川を開鑿したことで知られる豪商・角倉了以(1554-1614)の孫

嵐山-高雄パークウエイの経路は敢えて南北に行き来するように敷設されており、道路設計者は菖蒲谷池の側を通したかったと見える。京都の市街地を遠望できる菖蒲ヶ丘展望台の他、嵐山-高雄パークウエイの展望台はいずれも絶景なので立ち寄りたい。

路線嵐山-高雄パークウエイ(一般自動車道)
所在地京都府京都市右京区嵯峨観空寺谷町
回転度240度
完成時期1965(昭和40)年11月13日開業
実走行日2022-05-06
全景写真
(2003年8月12日初訪) 夏休期間につき二輪車通行禁止、あえなく撤退。

(2022年5月6日再訪) 菖蒲谷池ループ全景拡大する
菖蒲谷池ループ全景。木々がよく茂って、ループを描いている様子がよく見えぬ。
〈注〉嵐山-高雄パークウエイ内のドローン飛行は事前許可申請制。この写真は敷地外から離陸・撮影しましたよ。
菖蒲谷池ループ途中から眺める菖蒲ヶ丘函渠拡大する
菖蒲谷池ループ途中から眺める菖蒲ヶ丘函渠。曲線半径は22mなので、道路構造令から逆算すると設計速度は25km/hということになるが、だいたいの車は50km/hぐらいでかっ飛ばして行きますね。
菖蒲ヶ丘函渠。土被りは3mぐらいありそうなので、トンネル扱いでしょう。
高雄料金所は19年前とほとんど変わらず。おっと、通行料金は50円上がっていた。あと、クレジットカードと交通系ICカードが使えるようになっていた。
雑誌「土木技術」1966年1月号 (土木技術社)から引用
完工前後の菖蒲ヶ丘函渠。見事につるっぱげだが、これは道路開鑿工事によるものではなく、江戸時代・明治・大正・戦前戦中に薪を切り出した結果だと思う。現代の青々とした愛宕・北山の山々を誰が想像しただろうか。