道の駅農匠の郷やくの前ロータリー(ラウンドアバウト)

京都府と兵庫県の県境近くにある旧夜久野町(現福知山市)。1468(応仁2)年3月、応仁の乱・夜久野ヶ原合戦の舞台である。きっと、このへんの人たちも「この前の戦争」って応仁の乱なんだろうな。そして、その程度の古さで驚いてはいけない。「ヤクノセラス・ヌカタエンゼ」(ヤクノは夜久野、ヌカタは夜久野町大字額田)という学名のアンモナイト化石が発掘されたことでも有名だそうだ。林道の土砂崩れ現場に中生代三畳紀中期(2億2000万年前)の化石が転がってたって凄くないか?

そんな化石を展示している化石・郷土資料館や温泉、レストランがある道の駅 農匠の郷やくのの駅前にロータリー交差点がある。ロータリー交差点は1997(平成9)年5月完成、供用開始。その交差点の東西方向の道、府道531号上夜久野停車場線と府道63号山東大江線をショートカットするように設けられた市道中央線(当時は夜久野町道中央線)は1997(平成9)年8月に全線供用開始となっている。

中央島には大きな榎の木があり、「一里塚」と刻まれた石がある。一里塚に榎の木は定番とは言え、マジかコレ?・・・と、帰宅後に夜久野町史を調べてみたところ、ここを一里塚と仮定して検証したものの距離が合わず、一里塚と確信できなかったようだ。つまり、中央島の「一里塚」と刻まれた石はどこかから移設したものということか? あゝ真剣に化石・郷土資料館の展示を見ておくべきだったと嘆いても後の祭りだ。

2022年5月再訪時に展示を見直したが、一里塚に関する展示・解説はなかった。

その中央島の榎の木の由来は、1997(平成9)年5月30日の京都新聞朝刊にロータリー交差点完成と併せて報じられていた。

  • 樹齢300年と伝えられている。
  • 昭和30年頃に周辺開墾の際にも残された。
  • 町道中央線計画時、住民から保存要望があった。

という経緯でロータリー交差点が採用されたとのこと。記事には、南側から中央島を向いて撮影した、現在とほとんど変わらない写真もあった。

それにしてもだな、このロータリー交差点を含む市道路線名が「中央線」とは、旧夜久野町の時代に付けられた名とは言え、平成の大合併で福知山市になった今、本家を乗っ取る勢いだな。肝心の福知山市内にある市道は「福知山中央線」と名付けられているのが何とも微妙だ。もっとも、市民にとっては市道名なんて関係ないか。


(2022年7月13日追記)
当記事を2016年1月15日に公開した際に「すぐにでも環状交差点(ラウンドアバウト)として運用可能だと思う」と書いた。京都府公安委員会が当記事に反応した…はずはないが、結果的には即座に対応されたが如く2016(平成28)年3月10日付で公安委員会指定の環状交差点になった。現地の規制標識「環状の交差点における右回り通行(327の10)」裏面に貼られた設置年月も2016(平成28)年3月だった。

SNS投稿にて2016年8月時点で規制標識が設置されていたことを確認した。規制標識の設置と同時に警戒標識「ロータリーあり(201の2)」を取り外したと考えてよいだろう。

振り返ってみれば、警戒標識「ロータリーあり(201の2)」も規制標識「環状の交差点における右回り通行(327の10)」も正しい向きに設置され、あらゆる点で模範的なロータリー交差点/環状交差点と言ってよいだろう。1997年(あるいはその前年か?)の時点でここにロータリー交差点を設けることを発案した旧夜久野町役場担当者に拍手を送りたい。

カテゴリーラウンドアバウト
路線市道中央線/市道上野中央線
所在地京都府福知山市夜久野町平野
完成時期1997(平成9)年5月 ロータリー交差点供用開始
2016(平成28)年3月10日 ラウンドアバウト指定
実走行日2015-09-22
全景写真
(2015年9月22日初訪) 道の駅農匠の郷やくの前ロータリー東側にある青看板。西方の山(宝山)の噴火でできた高原なので、西から東に向かって緩やかに傾斜している土地だ。
道の駅農匠の郷やくの前ロータリーを東側から眺める。
道の駅農匠の郷やくの前ロータリーを南側から眺める拡大する
南側から眺める。完成当時の京都新聞に掲載されていた写真とほぼ同じ構図。違っているのは導流帯が長くなったことと「止まれ」の路面ペイントが増えたことぐらいか。
西側から。
北側(道の駅敷地)から眺める。
接続路すべてが一時停止となっており、かつ分離島が設けられている。すぐにでも環状交差点(ラウンドアバウト)として運用可能だと思う。
中央島にある榎の木の根元にある「一里塚」の碑。元々ここが一里塚だったのか、後世に碑石が移設されたのか。

(2022年5月4日再訪) ラウンドアバウト化された道の駅農匠の郷やくの前ロータリーを東側から眺める。
ラウンドアバウトの南250mに設置されている青看板。ロータリー交差点の時代から設置されていて、ラウンドアバウトになってもそのままだ。
ラウンドアバウト化された道の駅農匠の郷やくの前ロータリーを南側から眺める拡大する
ラウンドアバウトを南側から眺める。規制標識「一時停止(330-A)」と警戒標識「ロータリーあり(201の2)」が撤去され、規制標識「環状の交差点における右回り通行(327の10)」「指定方向外進行禁止(311-F)」が設置された。
西側から眺める。
北側(道の駅敷地)から眺める。
規制標識「環状の交差点における右回り通行(327の10)」は2016(平成28)年3月に設置された。