兵庫県北部の山間にある与布土ダム。治水(洪水被害の軽減)と利水(水道用水の安定供給及び河川水量の安定化)を目的とする多目的ダムで、2011(平成23)年に堤体コンクリート打設が開始され、2014(平成26)年に竣工した。ダム下流の高水敷から天端道路までの標高差は60m(堤高は54.4m)あり、県道をのの字状に付け替えることでその標高差を克服した。
与布土ダムが作られることは2008-9年頃に、ダム前で県道がループしていると知ったのは2012年だった。工事関係車両が往来するため一般車通行止めが長く続いていて、一般開放される日を心待ちにしていた。
試験湛水を開始する湛水式(2014年1月)は非公開、元々冬季通行止めになる道路なので春先に兵庫県道路総合管理システムやダムおたく愛好家のツイートをチェックしつつ、道路開放を待った。県道は2021(令和3)年3月9日をもって区域変更・供用開始となり、その後、実走報告が時々出現してきたので、満を持して訪問した。
空中写真でなんとなく理解していたが、県道276号檜倉山東線の与布土集落以南はダム工事のために付け替えられた区間を含め完全1車線、のの字部も1車線だ。1車線の「のの字」は他には肘折希望大橋、天狗橋、沖家室大橋、長崎トンネル、第二境の谷橋ぐらいで、珍しいと言ってよいだろう。
のの字前後の橋梁は下表のとおり。標高が低いほうから順に並べ、桃色の背景でループの内側を示す。
橋梁名 | 橋長 | 完成日 |
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川上橋 | 11.6m | 1962(昭和37)年 |
川上新橋 | 11.6m | 1982(昭和57)年 |
奥山新橋 | 調査中 | |
大日向橋 | 21.5m | 2007(平成19)年1月 |
奥山大橋 | 調査中 | |
小滝橋 | 調査中 |
親柱に取り付ける橋名板は、道路起点側に漢字の橋名と橋がまたぐ河川名、道路終点側にひらがなの橋名と完成年月、それぞれが記されることが一般的[2,368KB]だが、兵庫県土木工事共通仕様書は完成年月を記さない[5,674KB]ことにしており、ここも同様であった。文字判別可能な橋歴板の撮影には300mm以上の望遠レンズが必要だ。
路線 | 兵庫県道276号檜倉山東線 |
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所在地 | 兵庫県朝来市山東町与布土 |
回転度 | 300度 |
完成時期 | 2007(平成19)年? |
実走行日 | 2022-05-04 |
全景写真 | |
拡大する ループの内側で最初に渡る橋、奥山新橋全景。 拡大する 奥山大橋(左)と大日向橋。奥山大橋の下を県道がくぐっている。 拡大する 奥山大橋(左)と大日向橋を奥山大橋上から眺める。大日向橋が架かっているのは大日向沢なのだろうか。兵庫県の土砂災害警戒区域図には(安定している沢だからか)記載がない。 拡大する 完全1車線の奥山大橋。標識はないので60km/h制限だと思うが、そんなに出せない。 拡大する 奥山大橋(与布土ループ)全景・・・と思ったが、地上からじゃループしている様子がよくわからんね。かくなる上は・・・ 拡大する 奥山大橋(与布土ループ)空撮じゃ。と言っても、やはり交差している様子は撮れない。撮ろうとしたら山に激突する。 奥山新橋橋名板。誰が揮毫したのかな?2011(平成23)年3月閉校の与布土小学校児童による橋名板書道展か? 大日向橋橋名板。同じ版を使っていない凝りよう。 本当は沢の名前を知ってるんでしょ? 奥山大橋橋名板。兵庫県庁土木部技術企画課さま、完成年月を表記するよう共通仕様書を改定してもらえませんか。 与布土ダム与布土ダムは2014(平成26)年6月に竣工した重力式コンクリートダム。与布土ダム全景。堤頂長は145m。 ダム湖は奥山四季彩湖と名付けられた。 |
与布土ループ ビフォー・アフター
左:2007(平成19)年04月 簡易空中写真 大日向橋まで架設され、奥山大橋は未架設。
右:2021(令和03)年06月01日 国土地理院撮影