ジョイホンパーク吉岡内交差点

前橋市の北西、関越道駒寄PAのすぐ東側に大規模商業施設が作られた。ジョイホンパーク吉岡という、大規模ホームセンターで有名なジョイフル本田による出店計画である。当初は2016年開業を目指していたようだが、どういう事情か開業は2023年4月26日になった。

この敷地内道路の交差点に円形交差点が設けられるとの噂を聞いていたので、開業早々に訪問してみた。

敷地内へ引き込まれた道路2本の終端が円形交差点になっており、町道だと掲出されている。そしてその道路は駐車場を結ぶ敷地内道路に接続していて、路面には環状交差点特有の「ゆずれ」がペイントされている。

しかし、規制標識「環状の交差点における右回り通行(327の10)」は設置されておらず、警戒標識「ロータリーあり(201の2)」が外郭道路(県道)から敷地内に踏み入れた場所に1本づつ設置されているのみ。

これはどういうことなのか。
まずは現場の様子を見てみよう。

路線町道片貝5号線,町道片貝6号線
所在地群馬県北群馬郡吉岡町大字大久保
完成時期2023(令和5)年4月26日開業
実走行日2023-04-29
全景写真

西側交差点

ジョイホンパーク吉岡の敷地内に引き込まれた道路は町道であることをアピールしている。が、「町道4527号線」は整理番号であり、ここには路線名称である「片貝5号線」を標示すべきではないのか?初っ端から脳内に???が浮かぶ。
ジョイホンパーク吉岡の敷地内西側交差点拡大する
ジョイホンパーク吉岡の敷地内西側交差点を南側から眺める。交差点の手前には警戒標識「ロータリーあり(201の2)」が設置されているだけで、規制標識「環状の交差点における右回り通行(327の10)」はない。しかし路面には環状交差点特有の「ゆずれ」、分離島上にも環状交差点特有の自主規制標識「ゆずれ」が設置されている。
ジョイホンパーク吉岡の敷地内西側交差点を西側から眺める拡大する
西側交差点を西側から眺める。「直進の出口通過後 左側の方向指示器で合図」とはわかるようでよくわからない表現だろう。敷地外へ退出する車両だけを念頭に置いた案内らしい。
ジョイホンパーク吉岡の敷地内西側交差点を店舗側から眺める拡大する
店舗側から眺める。エプロンに段差を設けなかったのは賢明だろう。

東側交差点

ジョイホンパーク吉岡の敷地内東側交差点を南側から眺める拡大する
東側交差点を南側から眺める。西側交差点と同様、警戒標識「ロータリーあり(201の2)」と自主規制標識「ゆずれ」が設置されている。
ジョイホンパーク吉岡の敷地内東側交差点を東側から眺める拡大する
東側交差点を東側から眺める。「ロータリー優先」とはラウンドアバウトとして運用することを意図していることは明らかだが、公安委員会の指定を受けていないので規制標識「環状の交差点における右回り通行(327の10)」またはそれに類した私設標識を設置できないということだろうか。
ロータリー内を町道にした目的がよくわからぬ。開店前に県道で発生するかも知れない行列を緩和する目的なら町道にしなくてもよいだろう。

町議会会議録で確認

現調しても謎は深まるばかり。町議会会議録で検討経緯を確認してみる。

令和4年第4回定例会 2022年12月01日 議案第73号 町道路線の認定についてには、次のような質疑が記録されている。(一部を抜粋)

こちらはロータリー道路町道認定範囲(案)になっておりますが、新規認定路線の範囲を青色で着色したものでございます。図面の上が北になります。南側の県道南新井前橋線との接合部を起点に、ジョイフル本田の店舗敷地内のロータリー形状のところまでの道路ということになります。

ロータリー部分につきましては、円形状の半径が約11メートルで、車道部の幅員が3.5メーター、その内側には約、幅3メーターのゼブラ帯を設ける予定となっております。さらに、その内側の中央部は緑地帯を設ける予定でございます。

この答弁から推測できることは、この交差点は環状交差点に指定されておらず、その申請の予定もないということだろう。

交差点事故をゼロにすることはできないが、死亡等の重大事故防止に大きな効果がある円形交差点の導入は素晴らしいことだ。

その一方で、万が一にもここで事故が発生した場合の取り扱いはどうなるのだろうか。環状交差点の規制がないので左方車優先、つまり進入車優先が道交法の原則である。しかし私設標識には「ゆずれ」「ロータリー内優先」がある。つまりは、双方とも非優先車ということだ。双方が優先車でないからまだよいが、優先関係があいまいな状態はよくないことに県警・町・事業者ともに気付いてほしい。

また、この質疑を纏めたよしおか議会だより第138号 2023年01月20日発行には次の記事がある。

よしおか議会だより第138号(2023年01月20日発行)

町議会会議録の次の部分を解説したものだろう。つまり、県道が混んでいたらジョイホンパークの中を抜け道にしようということか?それはそれで荒技だな。それと円形交差点の関係が答弁されていないぞ?

道路形状は、なじみの少ないロータリー造りとなっておりますが、県道南新井前橋線の渋滞緩和、特に大松交差点から関越自動車道までの渋滞緩和を目的に、県道南新井前橋線の既設右折レーンを活用し、ジョイフル本田、開発区域内の一部を利用し、通り抜けが可能な道路形状として採用したものでございます。


2020年のこの質問が、2022年の上記答弁につながったと考えるべきか?

うーむ。益々わからなくなった。