八帖歩道橋


小学生の算数の試験で出題される「一辺の長さが1の正方形がある。各頂点から半径1の円弧を描いたときにできる円弧で囲まれた図形の面積を求めよ。答に小数がある場合は、小数点第3位を四捨五入せよ。」の図形みたいな歩道橋が、国道1号と国道248号の交差点に架けられている。まんまるではないが、四分割した楕円を組み合わせた形状なので、円形歩道橋コレクションに加える。
架橋前は、交差点の東側に国道1号を跨ぐだけの横断歩道橋があり、他の3道路は横断歩道が設けられていた。

愛知県内でも有数の交通集中交差点らしく、愛知国道事務所による専用サイトがある。(最近は更新されていないようだが)

それにしても、なぜこのような形状にしたのか。

「橋梁」第25巻第9号(橋梁編纂委員会)に掲載された「八帖歩道橋の設計・施工」によれば、この交差点前後の国道1号は、道路幅員を40mに拡幅するとともに両側に環境施設帯を設置する沿道環境整備事業のモデル区間として、1979(昭和54)年度から建設省愛知国道工事事務所が事業に着手したとのこと。岡崎市の中心に近い場所であるが故の諸々の事情を踏まえて地域の象徴的モニュメントとして相応し、従来のスタイルにない斬新なデザインを施すことにしたそうだ。
そして、設計の基本的概念を

  1. 歩道橋があると、思わず渡りたくなり、渡ると潤いと安らぎがあり、変化に富んだ面白さが感じられる歩道橋
  2. 岡崎市の、文化観光都市としての、歴史的な雰囲気とイメージを持ち、落ち着きと風格があり、また全体として、バランスのとれた造形的に優れた歩道橋
とし、その表現方法として
  • 平面的に工夫を施し、特に動線としての配慮を重視すると共に、回遊を可能とした面白い形状とする
  • 距離感覚を和らげるため、できるかぎり平面的な曲線を取り入れる(曲線の曲率を変化させた楕円)
  • 道路部の四隅附近に、小空間を設け、休息場所としての有効な利用
  • 「龍城通り」の名にちなみ、龍を題材に平面形状にてイメージ化
  • 高欄は、落ち着いた型とし、要所には、徳川家にゆかりのある歴史的なイメージを作る
が設定された。
※龍城通り(たつきどおり):岡崎城の別名である龍城(りゅうじょう)にちなみ、およそ岡崎市役所から矢作川までの国道1号(東海道)を指す。

ふーん、算数の難問が龍のイメージか。
かなり高尚だな。

しかし、直線的に✕または□の形状で交差点を結ぶと長い距離を歩く印象を持つところ、円弧にすることによって近いと錯覚するのは事実と言っていいだろう。

カテゴリー円形歩道橋
構造3径間連続鋼床版箱桁橋
路線国道1号/国道248号
所在地愛知県岡崎市中岡崎町/八帖北町
実走行日2016-03-20
全景写真
交差点の斜向いに行くなら、どちらを通ってもよい。
これが龍のイメージか。煤で汚れた桁が残念だ。
国道1号矢作川方面を眺める。なかなかの渋滞。
国道248号岡崎駅方面を眺める。こちらの混雑も酷い。
おっと、岡崎市に集中して棲息していると噂される「こっちだヨウ平」発見。基本的には全国に分布しているはずだが、絶対数は減少しており、レッドデータブック入りは近い。
1989(平成元)年3月架設。