一宮市栄1丁目

尾張一宮駅前の通りに円形交差点があることは以前から知っていた。一宮市建設部道路課によれば、戦災復興土地区画整理事業の都市計画道路として設置され、その後、シンボルロード整備事業で地下駐車場とともに再整備されたとのこと。国土地理院の航空写真によれば、1948(昭和23)年は工事中の様子で、1949年(昭和24年)10月の写真で一宮駅前交差点(現在は十字路)とともに円形交差点を確認できる。

現地を訪問してみて、確かに駅前の「顔」としてはよく整備されているが、これをラウンドアバウトとするのはかなり無理があるのでは?という印象を持った。設計が明らかに駅前ロータリーなのだ。

  • 中央島に設けられたモニュメントが大きく、周辺街路樹も大きいので、交差点の見通しが悪い。
  • 横断歩道と環道の間にスペースがなく、流入車両は歩行者と環道走行車双方に注意を払わなければならない。
  • 環道で停車して乗降することを前提にしていると思われる通路が環道沿いの植栽に設けられている。
  • 分離島や導流帯が設けられている接続路は1本だけで、流出車と流入車の安全なすれ違いを確保できそうにない。

等々。

円形交差点だからラウンドアバウトにできるんじゃないの?的な安易な考えで指定されたと思われても仕方のない構造だ。ここをラウンドアバウトとして運用してゆくためには、関係官署の丁寧な広報・指導はもとより、地元住民のマナー維持が不可欠だろう。

今回は早朝訪問(朝6時過ぎ)だったのでスムースな交通流であったが、多くの人が活動する時間帯でも車両滞留は回避できているのだろうか。

路線市道
所在地愛知県一宮市栄1丁目
完成時期1949(昭和24)年
実走行日2014-09-14
全景写真
駅からラウンドアバウト方面を眺める。背後に建物が多く、中央島のモニュメントも大きいので、中央島の向こう側を通行する車両を把握するのは困難だ。 東から眺める。街路樹が大きいので、環道に接近しないと環道走行車両を確認できない。また、分離島や導流帯は設けられておらず、横断歩道がゆずれ線を兼ねているような状態だ。 このように見通しが悪い場所に横断歩道が設けられているにも関わらず、ラウンドアバウトの原則に則って「一旦停止不要」のようだ。 環道と歩道の間は植栽で分離されているが、その間に通路が設けられている。これは、環道で停車して乗降することを前提にしているのではないか? ゆずれ線というよりは停止線のような印象。 ラウンドアバウトから尾張一宮駅方面を眺める。昔は、一宮駅前交差点も円形交差点だったらしい。