上有住八日町頭首工魚道


岩手県、遠野と大船渡の中間に位置する住田町。1955(昭和30)年に上有村と下有村と世米町が合併したので「住田町」になった。

旧上有住村で稲作が可能な地域は村域南部の八日町とその周辺にある猫の額ほどの気仙川(とその支流)が形成した沖積平野で、その面積は100ヘクタールに満たない。しかしながら、豊富な水量の気仙川のおかげで水争いが発生することはほとんどなく、地域ごとに水利組合が結成され、気仙川から取水して各地域へ引き込まれた。

村内最大の水利組合であった八日町水利組合は、字寒倉と字小松の間にある気仙川の峡谷である鏡岩直下に頭首工を設けた。耕地整理組合の結成は大正14年で昭和4年に完工となっている。鏡岩は昔から地域の景勝地として親しまれ、現在は線形改良により袋小路となった県道167号旧道を含めて鏡岩せせらぎ公園として整備されている。

これに先立つこと約10年、八日町に隣接する集落が小松深渡水利組合を設立し、鏡岩の600m上流に頭首工を設け、鏡岩を掘り込んで片洞門形式で水路を通している。

これら上有住東部の頭首工・用水を纏めてみた。


《摘要》 緑線:寒倉用水  青線:小松深渡用水  朱線:八日町用水

いずれの頭首工にも魚道が設けられているが、のの字を描いているのは八日町頭首工だけである。設置時期は継続調査中。

これら水路に加えて、鏡岩から滲み出る湧水もあり、冬場の鏡岩は絶妙な氷爆ができあがるそうだ。また、上有住では、5月上旬には一面の菜の花畑、6月上旬には一面のなでしこ畑が広がるとのこと。これらの時期が訪問のベストシーズンか。

構造らせん型魚道
水系気仙川水系気仙川
所在地岩手県気仙郡住田町上有住小松
回転度450度
完成時期調査中
訪問日2017-10-08
全景写真
鏡岩と上有住八日町頭首工と魚道
用水名を重ねてみる。
鏡岩と八日町頭首工魚道の全景拡大する
鏡岩と上有住八日町頭首工魚道の全景。これが氷爆になったら絶景だろう。万全の装備で鑑賞したいものだ。
八日町頭首工魚道拡大する
上有住八日町頭首工魚道、実は50cm程の小さな落差である。とは言え、直線型の魚道を設けるとかなりの長さになるため、景観を害すると判断されたのだろうか。魚影は確認できなかったものの、堆砂はほとんどないように見えた。漁協または地域の手によって頻繁にメンテナンスされているのだろう。
八日町頭首工すぐ下に設けられた余水吐水門。春にはここから気仙川に戻される水は殆どないに違いない。

《参考文献》

  • 住田町史 第三巻 産業経済編(住田町史編集委員会編/2001年7月刊)
  • 岩手県釜石・気仙地域 水調査書(岩手県作成/1992年3月刊)