安心院の輪交差点(ラウンドアバウト)


ラウンドアバウトが各地で導入され、大分県でもどこかに設置してみたいという強い意欲の下で適地選定が進められ、宇佐市安心院(あじむ)の国道と県道の交差点で社会実験を行うことになった。

安心院の中心部は主要都市・観光地を結ぶ経路から外れているので元々通過交通は多くないところがポイントだろうか。地域交通の安全性を高める意図が透ける。

2019(令和元)年10月29日に社会実験が開始され、評価と本格運用に向けた工事を経て、2021(令和3)年3月20日に本格運用が開始された。本格運用開始に際して「安心院の輪」交差点と名付けられ、環道走行車両の有無を早期に検知しつつシンボルとなるモニュメントが中央島に設けられた。

訪問時は環道に接続する10mほど手前にスピードバンプ(1mほどの長さなので、ハンプというよりはバンプだろう)が設けられ、何が何でも減速させてやろうという道路管理者の強い意志を感じる構造であった。一般的には、緊急車両や交通弱者等への影響を考慮してイメージハンプ(ハンプがあるように見える路面ペイント)が施工されることが多いからだ。

その一方で、ラウンドアバウトをショートカットするような微妙な道路があり、これがどのように交通流に影響を与えるか気になるところ。詳細な方面別交通量のデータが手元にないのでリスクは低いのかも知れないが、安全を期すなら改善が必要だと感じる。(当レポートの下方にその道路を示しておく)

前述のとおり、通過交通は多くないものの、旧来の市街地に設置されたことが特徴的であり、今後発表されるであろう各所の分析レポートに注目したい。

路線国道500号/県道42号山香院内線
所在地大分県宇佐市安心院町下毛
完成時期2019(令和元)年10月29日社会実験開始
2021(令和3)年3月20日本格運用開始
実走行日2021-04-03
全景写真
国道に設置された青看板。ラウンドアバウトの存在を遠くから認識させる重要な役割を果たす。
安心院の輪交差点を東側から眺める拡大する
安心院の輪交差点を東側から眺める。交差点の見通しはよく、横断歩道と環道の間に乗用車1台分のスペースが確保されている。
この接続路の路面ペイントの「ゆずれ」は実験だろうか。他の数多の交差点のみならず、当交差点の他の接続路とも異なる字体で、なんとなく令和の時代を感じさせる。新字体が紹介されていたので試しに施工してみたけどめんどくせえ!ってな顛末を想像してみた。((一社)全国道路標識・標示業協会が発行するハンドブックは高額で、一般民間人には買えないですよ...)
安心院の輪交差点を南側から眺める拡大する
南側から眺める。分離島の切り欠きは沿道住民に対する配慮だろうか。
安心院の輪交差点を西側から眺める拡大する
西側から眺める。交差点名が「安心院の輪交差点」はよし(字面がいいよね)として、英語名が「Ajimu no wa Crossing」なのはいかがなものか。Crossingは十字路の印象が強く、ここは「Ajimu no wa Roundabout」が適切だと思うのだが、交差点はCrossingと表記することが大分県のガイドラインなのだろうか。ここは柔軟に対応してほしかった。
そして、ここは筆者が問題と考える道路構造の地点で、分離島の短さが気になった。なぜか。下方の「課題」を参照してほしい。
安心院の輪交差点を北側から眺める拡大する
北側から眺める。中央島に設置されたモニュメント(というかオブジェというか)は「盆の棚」と名付けられ、高さ3.8m、直径8mの棚から下に伸びる色とりどりの棒が安心院特産のブドウ等を表現しているとのこと。
東側接続路と北側接続路にスピードバンプが設置されている。高さは7cm程度だろうか。警告がないので、知らずに突っ込んだ高速車両は激しい衝撃を食らうだろう。
エプロン端は歩車道境界ブロックの流用。環道両端に赤いペイントが施されているが、特に中央島へ寄りすぎない心理的効果がありそうだ。

課題

安心院の輪交差点の北側にある道路、国道や県道が敷設される前から(おそらく江戸時代から)ある、木裳(きのも)と下毛(しもげ)という集落を結ぶ歴史ある道路なのだが、これが東西両方向へ通行可能である。つまり、ラウンドアバウトのすぐ近くで車両の動線が交錯する可能性があるわけで、不安要素と言えるだろう。分離島の短さがそれを肯定している。
県道を北東方向から北西方向へ走行する車両がいるかも知れないというのは想定されているようで、東側接続地点の分離島延長線上にポールコーンが立てられてショートカットを防いでいる。従って、事実上の一方通行なのだがそれだけでは不安を払拭できない。ラウンドアバウトの北西側接続路横断の可能性を否定しなければ。
この写真の地点、西側の県道接続地点を閉鎖してしまうことが最も簡単な解決策だが、沿道居住者への影響が大きい。さて、どうしたものか。

走行動画