八戸市の北部、海上自衛隊八戸航空基地の南東にある自衛隊官舎(八太郎山特借宿舎)に隣接する交差点が2018(平成30)年8月27日11時から環状交差点として運用開始された。
戦前は陸軍八戸飛行場が置かれた地で、終戦直後には駐留軍(米国陸軍)が接収してキャンプハウゲン(Camp Haugen)を開設した。キャンプの南東に住居地区を整備、その際に中央部に設けた円形交差点が現在まで残っており、僅かな改修工事でラウンドアバウト化されたのだ。
2014(平成26)年9月の改正道交法施行直後に指定されていてもおかしくない交差点だったのだが、数年遅れたのはどんな事情があったのだろうか。接続する道路4本のうち2本は防衛省が管理(残る2本は八戸市道)していると見られ、調整に時間を要したのかも知れない。
中央島には立派な松の木が植栽されている。米軍住宅の時代から存在するのか、返還され自衛隊官舎になった後に植栽されたものかはわからないが、中央島の向こう側を視認しやすい枝振りで、こんな植栽ならあっても構わない(むしろ歓迎)と思わせるものである。
路線 | 市道八太郎山官地1号線/私道 |
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所在地 | 青森県八戸市大字河原木字八太郎山官地 |
完成時期 | 1946(昭和21)年 円形交差点設置 2018(平成30)年8月27日11時環状交差点として運用開始 |
実走行日 | 2021-09-29 |
全景写真 | |
(2021年9月29日撮影)
![]() 八太郎山官地ロータリー(ラウンドアバウト)を西側から眺める。向こう側には自衛隊官舎が立ち並ぶ。 ![]() 北側から眺める。この道路は路面の荒れ具合から見ておそらく防衛省管理だ。 ![]() 東側(官舎の敷地内道路)から眺める。敷地内道路ではあるが、規制標識「環状の交差点における右回り通行(327の10)」が設置されている。 ![]() 南側から。いずれの接続路にも警戒標識「ロータリーあり(201の2)」は設置されていないが... ![]() ![]() ![]() (2018年6月26日撮影) ![]() ※ 現在は指示標識「横断歩道(407-A)」が掲出されているので、ラウンドアバウト運用開始とともに取り替えられたようだ。現在の自衛隊官舎に子供がいないのか、それともこの官舎は単身者向けで、世帯向け官舎は別の場所にあるのか。 |
八太郎山官地ロータリーの変遷
1948(昭和23)年04月 | 1961(昭和36)年04月 | 1981(昭和56)年06月 | 2013(平成25)年04月
- 1948(昭和23)年04月29日 米軍撮影
- 駐留軍(米国陸軍)が陸軍八戸飛行場を接収してキャンプハウゲンを開設したのは1945年9月。1946年にはほぼこの写真のように米軍住宅が整備されていた模様で、円形交差点も同時に設置されたと見られる。
- 1961(昭和36)年04月28日 国土地理院撮影
- 基地返還は1956(昭和31)年5月。陸上自衛隊設置の後に海上自衛隊が移駐した。米軍住宅はそのまま自衛隊官舎に転用されたのだろうか。だとすれば入居した自衛官と家族は一戸あたり敷地面積の大きさに驚いただろうな。
- 1981(昭和56)年06月24日 国土地理院撮影
- 八太郎山官地住居地区の土地利用率が最も高いと思われる時代。官舎以外に基地施設があったのだろうか?
おまけ
八太郎山官地(自衛隊官舎地区)北側にある「シルバー病院」と掲げられた建物。「介護老人保健施設はくじゅ」だが、どう見ても管制塔。八戸飛行場が民間共用されていた時代の管制施設だろうか。入居者(入院患者)は管制室みたいな場所に立ち入りできるのであれば、老練ミリオタにお勧めの施設ということになるね。