岐阜県と福井県の県境付近を源に木曽川へ流れる根尾川。そのちょうど中間あたりに位置し、断層で有名な根尾谷近くにある金原ダムは中部電力金原発電所の取水堰として1929(昭和4)年に建設された。
魚道は当初設けられていなかったが、魚道の必要性が徐々に認識されるようになった1970年代前半に設けられた。(具体的な時期は調査中)
金原ダム堤体のすぐ下流に市道の高尾橋が架けられていて、現在の橋は1967(昭和42)年3月に竣工したものだ。高尾橋近くの擁壁に埋め込まれている工事記念の銘板には工費700万円と刻まれている。おそらく金原ダムと同時期の1929(昭和4)年に架けられた吊橋である先代のものだろう。当時の周辺経済情勢を考慮すると38年で架け替えというのは少々理解し難い。想像であるが、当時急速に魚道の必要性を認識するに至り、吊橋主塔の位置が魚道建設の障害になる等の理由があって橋を架け替えたのではないだろうか。
(2023年12月14日追記)文献調査の結果、架け替えは魚道とは直接関係していないことが判明した。調査結果を橋梁カテゴリの記事にまとめ、本記事から高尾橋に関する一部を削除する。その一方、魚道の設置時期がわからなくなった。
当時としては画期的な魚道長であったに違いない。水位差を克服すると同時に、洪水時の流量に極力影響を与えないようにするために、魚道構造をできるだけコンパクトにまとめるべく、苦肉の策として現代の「たて型壁面魚道」に似た型式が採用されたと見られる。「のの字な魚道」とは言い難いが、流路が上下で重なっているのでギリギリ定義を満たしていると考えた。
構造 | その他の型式 |
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水系 | 木曽川水系根尾川 |
所在地 | 岐阜県本巣市根尾高尾 |
回転度 | 180度 |
完成時期 | 1970年代前半 |
訪問日 | 2018-10-20 |
全景写真 | |
拡大する 1929(昭和4)年に建設された金原ダム全景。右の赤い橋が高尾橋、その右下に先代の橋の主塔乃至は橋台跡と見られるコンクリート構造物が見える。 拡大する 金原ダム魚道全景。石垣が大正レトロな印象だが、そんなに古いものではない。 拡大する 上から眺める金原ダム魚道。「のの字」を描いているわけではないが、ギリギリループ魚道と呼んでいいだろう。 拡大する 屈曲部を拡大してみる。なんと、余水はまっすぐに流す仕組み、つまり三叉路魚道じゃないか!(そんな分類はないけれど) |