清泉分水工


道路の除雪技術について寒地土木研究所の過去の論文を探していたら、円筒分水工の実験を行った旨の論文(参考資料1)に偶然たどり着いた。

1978(昭和53)年から2006(平成18)年にかけて行われた国営畑地帯総合土地改良パイロット事業の一環として導水路や分水工が新設整備されたとのこと。元々は昭和46年~昭和52年にかけて斜里・小清水・斜網西部の各地区個別に水源計画や灌漑計画等の事業計画を立案整備することとしていたが、水源開発の合理化のため3地区共同で緑ダムを利用するよう計画変更されたそうだ。(参考資料2,3より)

緑ダムで水量の安定化を施し、清泉頭首工で取水、清泉導水路を通り、ここ清泉分水工で清里送水幹線と小清水送水幹線に分水している。清泉と書いて「きよいずみ」と読む。関東甲信地方在住者は誤読しがちか。

清泉分水工の完成時期が記された文書は発見できていないが、参考資料1,4を勘案すると1991(平成3)年に完成していたと考えられる。清泉頭首工は2000(平成12)年に完成検査・本格運用開始なので、分水工として機能するようになったのはこのタイミングだろう。

冬季の凍結対策や冬季以外の野生動物対策か、分水工自体は八角形の建物の中にあるため残念ながら見ることはできない。参考資料1によれば越流壁は円形、外側の調整槽は四角い形状のようだ。分水工は長方形なのに八角形の建物にしたのは、円筒分水工であることをアピールするためだろうか?

管理者清里町?北海道開発局?
所在地北海道斜里郡清里町川向
完成時期1991(平成03)年完成
2000(平成12)年本格運用開始
訪問日2022-08-31
全景写真
清里町有数の観光地「さくらの滝」を目指す。さくらの滝1km手前にこのような丁字路がある。
丁字路から300mほどでゲートが現れるが、ひるんではいけない。
道東で一般的な野生動物対策であり、立入禁止ではない。立入禁止ならその表記があるし、鍵がかけられているはずだ。ゲートを開けて進入、ただちにゲートを閉じる。
ゲートから600mほどで分水工前に到着。名称等を示すものはこれだけだ。
清泉分水工建物。ざあざあと激しい水音が聞こえるものの、中を覗くことはできない。
ドアは鍵がかけられている。建物外の大きな鉄塊は清里送水幹線と小清水送水幹線の送水バルブだ。当然だが、触れてはならない。

《参考資料》

  1. 国立研究開発法人 土木研究所 寒地土木研究所 > 論文・刊行物検索 > 北海道開発技術研究発表会<発表年度別> > 1991年度 > 1992年02月01日 分水工水理模型実験結果の報告について > 本文

  2. 国営土地改良事業 事後評価 基礎資料
  3. 農林水産省 > 農村振興局 > 公共事業評価(農業農村整備事業評価) > 平成29年度完了後評価 > 小清水(北海道) 事業概要図:配水系統がわかる
  4. 日本ダクタイル鉄管協会 > 会誌 > ダクタイル鉄管49号(1990年10月):清泉導水路施工の写真が掲載されている
  5. 国土交通省 北海道開発局 > インフラツーリズム > 公共施設見学ツアー > 道東地区の施設の詳細 > 52_施設紹介【緑ダム関連施設群】:旅行会社や各種団体には見学対応されているが、個人は無理だろう(ツアーが開催されたら是非とも参加したい)