大田朝山IC

E9山陰道を構成する多岐・朝山道路は2006(平成18)年度に、朝山・大田道路は2007(平成19)年度に、それぞれ事業化された。両道路の接続点となる大田朝山ICをラウンドアバウトにして島根県道286号池田久手停車場線と接続すると発表されたのは2017(平成29)年3月。2つの中央島を持つツインラウンドアバウト採用ということで大きく話題になった。

交差点における重大事故の減少と逆走防止が大きなメリットとして周知されたが、開通から79日目にして大田朝山ICから進入した車両による逆走事故が発生した。

県道を南行した車両が、大田朝山IC北側ラウンドアバウトを3/4周回して朝山・大田道路上り線へ逆走進入したとのことで、2つの中央島それぞれを周回できる必然性が低いことから、緻密な原因分析は追って行うこととして、バリケードブロックを置いてひょうたん型ラウンドアバウトにする緊急的暫定的対策が講じられた。その後に行われたであろう原因分析報告は見ていないが、この対策が逆走進入防止に一層の効果ありと判断されたのだろう、恒久的にひょうたん型ラウンドアバウトに改良された。(ツインラウンドアバウトをこの目で見たかったぜ、ちっ)

一連の経緯を下表にまとめておく。

年月 イベント
2006(平成18)年度 多岐・朝山道路事業化
2007(平成19)年度 朝山・大田道路事業化
2018(平成30)年03月13日 ラウンドアバウト供用開始
2018(平成30)年03月18日18時 朝山・大田道路開通、大田朝山ICの大田方面供用開始
2018(平成30)年06月04日 朝山・大田道路で逆走事故発生
2018(平成30)年06月15日17時 ラウンドアバウトの一部にバリケードを設置して通行形態変更
2019(平成31)年03月17日17時 多岐・朝山道路開通、大田朝山ICの松江方面供用開始
2020(令和02)年01月頃 環道の一部を恒久的に閉じてひょうたん型ラウンドアバウトに改良する工事実施

ラウンドアバウトは逆走防止に効果なしと断ずる報道が一部にあるが、短期的に見るべきではない。しかしながら高速道路での逆走は1件でも発生すると死亡事故に直結するので、より安全な方法・対策があるなら積極的に適用することが望ましい。関係者の研究を待ちたい。

路線島根県道286号池田久手停車場線
所在地島根県大田市朝山町朝倉
完成時期2018(平成30)年3月13日供用開始
実走行日2020-09-22
全景写真
国道9号から大田朝山ICへ向かって県道286号を南行拡大する
国道9号から大田朝山ICへ向かって県道286号を南行すると出てくる青看板。道路の線形は忠実に表現されているが、環状交差点であることが示されていない。警戒標識「ロータリーあり(201の2)」の補助標識も「120m先」を案内するだけだ。
大田朝山ICのラウンドアバウトを北側から眺める拡大する
大田朝山ICのラウンドアバウトを北側から眺める。この後の写真を見ればわかるが、この地に慣れていない者にとっては方向感覚を失いやすい景色である。特徴的なものがないのだ。晴れていれば三瓶山が目印になりうるが、それとて地元民しか馴染みがない。
松江方面入口から北側中央島を眺める。この道路から県道へ流出する車両はないので殺風景で当然だ。
松江方面からの出口で南側中央島を眺める。
大田朝山ICのラウンドアバウトを南側から眺める拡大する
南側から眺める。ほらね、北も南も代わり映えしない景色でしょ。
大田方面入口から南側中央島を眺める。
大田方面からの出口で北側中央島を眺める。
大田朝山IC 南側中央島から北側中央島を眺める拡大する
南側中央島から北側中央島を眺める。開通当初は、写真左端の位置に規制標識「環状の交差点における右回り通行(327の10)」が設置されていたが、ひょうたん型への改良に伴い撤去された。
大田朝山IC 北側中央島から南側中央島を眺める拡大する
北側中央島から南側中央島を眺める。ひょうたん型への追加工事痕跡が見える。
大田朝山IC全景拡大する
大田朝山IC全景。雲をかぶっている山が三瓶山だ。
交差点名標識は3方向に向けて設置されている。
規制標識「環状の交差点における右回り通行(327の10)」は供用開始直前に設置された。

逆走防止策

これだけ鋭角に接続しているのだから逆走しないだろう、と考えてはいけないのだ。ラウンドアバウトに慣れておらず、方向感覚を失いパニックになったドライバーはあり得ない方向へ進みかねない。
閉じられた環道。
これぞ卒塔婆。逆走くんよ、安らかに眠れ。

ラウンドアバウトを通行する車両の動きを空撮動画でどうぞ。