2011年3月に発生した東日本大震災に伴う津波により、宮城県山元町では町域の37%に浸水被害があった。
海岸の防潮堤整備はもとより、壊滅的被害を受けたJR常磐線の線路付替えや今後の津波被害軽減のために南北方向の県道嵩上げ等、生活に必須のインフラ整備が行われた後、町内南北交通の補助線としてJR常磐線旧線を活用した町道整備が行われた。
東西方向(海岸線に対して直角方向)の道路は避難路になることから、信号機が避難の妨げにならないようラウンドアバウトを設けることになり、2021年から順次供用開始となった。2022年08月10日、JR常磐線旧線を活用した町道頭無西牛橋線が正式開通したので、同地を訪問取材した。
目次
全体空撮
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新たに開通した頭無西牛橋線3.5km。計3件のラウンドアバウトが設けられたが、空撮でも3.5kmを見通すことは困難、かろうじて南寄り2件のラウンドアバウトが見える。
最も南に位置するラウンドアバウトはJR山下駅があった場所で、それを懐かしむように公園が付帯整備された。
交差点情報整理
路線 | (1) 町道大平牛橋線/頭無(かしらなし)西牛橋線 (2) 町道山下花釜線/頭無西牛橋線 (3) 県道121号山下停車場線/頭無西牛橋線 |
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所在地 | (1) 宮城県亘理郡山元町山寺字西牛橋 (2) 宮城県亘理郡山元町山寺字北頭無 (3) 宮城県亘理郡山元町山寺字頭無 |
(1) 町道大平牛橋線の交差点:2021年11月24日宮城県公安委員会指定 (2) 町道山下花釜線の交差点:2022年01月26日宮城県公安委員会指定 (3) 県道121号山下停車場線の交差点:2021年11月24日宮城県公安委員会指定 なお、町道頭無西牛橋線は2022年08月10日開通 | |
実走行日 | 2022-08-27 |
交差点個別の写真
北側の交差点から南へ順に紹介する。
町道大平牛橋線 ✕ 町道頭無西牛橋(かしらなしにしうしばし)線
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町道大平牛橋線ラウンドアバウトを北側から眺める。
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東側から眺める。おーい、規制標識「環状の交差点における右回り通行(327の10)」の取り付け向きを間違えてるぞー。
南側から。
西側から。3ラウンドアバウトのいずれの接続路にも警戒標識「ロータリーあり(201の2)」は設置されていない。
町道大平牛橋線ラウンドアバウトとJR常磐線踏切の距離は150m。踏切で停車した車列の許容渋滞台数は12台程度か。踏切遮断時間は45秒ぐらいなので、朝夕のラッシュ時でも渋滞車列がラウンドアバウトまで延びることはないだろう。予備設計の工程においてそういう計算を行ったうえでラウンドアバウト設置位置を決定したと思う。
町道鷲足(わしあし)花釜線 ✕ 町道頭無西牛橋線(参考)
町道鷲足花釜線との交差点を南側から眺める。町道頭無西牛橋と交差する東西方向避難路4本のうちここだけ十字路が採用されたのはなぜだろうか。北側の町道大平牛橋線ラウンドアバウト、南側の町道山下花釜線ラウンドアバウトいずれとの距離も700m以上あり、渋滞車列が隣のラウンドアバウト通行に影響を及ぼす心配はない。
ただ、東西方向避難路を優先道路とする配慮がなされている。
町道山下花釜線 ✕ 町道頭無西牛橋線
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町道山下花釜線ラウンドアバウトを北側から眺める。
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東側から眺める。
南側から。
西側から。沿道家屋の関係上、この接続路だけ分離島が短い。
県道121号山下停車場線 ✕ 町道頭無西牛橋線
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県道山下停車場線ラウンドアバウトを北側から眺める。
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東側から眺める。この交差点は他の2本の町道交差点とは違って県が発注者だが、他の宮城県道でも見たことがない字体で描かれた「ゆずれ」ペイント。
南側から。中央島に立てられた照明灯は他の2本の町道交差点と同じ仕様と見える。
西側から。いずれのラウンドアバウトもエプロンはペイントのみ。低コスト化を狙ったものか?
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県道山下停車場線ラウンドアバウト空撮。ラウンドアバウトの左には東日本大震災慰霊碑「大地の塔」、塔の高さは3.11mである。
県道山下停車場線ラウンドアバウト付近
JR常磐線山下駅跡に再現されたホーム。津波でも流されなかった停止位置目標(◇に6)が再設置されている。駅名標は予備として保管されていたものだそうだ。
山下駅誘致の中心的存在になったことを称える齋藤忠人翁之像は平成3年12月に山下駅前に設置されていた。復興により駅は移転したが像は残された。