万町地下道

JR岡山駅西口から北(姫路方面)へ向かって400mほどの位置にあるアンダーパスの一端がループしている。永犬丸地下道松山空港地下道北詰ループと類似の構造だが、道路交差部の土被りは1m以上に見えるので我がサイトではトンネルに分類した。

※ 現地で簡易計測したところ道路勾配6~7%なので、土被り最薄部は1.2mと算出

1885(明治18)年に定められた国道(いわゆる明治国道)の岡山市周辺経路は、江戸時代に整備された西国街道(律令時代の山陽道と似た経路か?)をそのまま踏襲した。1929(昭和4)年に旧鴨方往来に沿った経路に変更されたが、その後も長らく県道(明治国道)が岡山-福山間のメインルートだったらしい。

その西国街道は岡山駅の北に設けられた万町踏切で国鉄と交差していたが、駅至近であるが故に遮断時間が極めて長く、戦後の人口増加・交通量増加により至急の改善が求められるようになった。その対策として踏切の200m北に跨線橋の万町橋が架けられることになり、1953(昭和28)年10月10日に完成、車道(県道から国道180号へ昇格)の経路はそちらへ移動した。

その後暫く万町踏切は自転車専用踏切として供用されていたが、1960(昭和35)年10月の山陽本線上郡-倉敷間電化で架線を通すために人道跨線橋の撤去が必要となり、先立ってこの万町地下道が設置された。地下道は歩行者だけでなく自転車も通行可能として、万町踏切は除却された。

ここは割と珍品な規制標識「徐行(329-A)」を鑑賞できる地でもある。Googleストリートビューによれば、2017(平成29)年8月時点ではまだ329-Bだが、2018(平成30)年5月時点で329-Aに架け替えられている。この標識が定められたのは2017(平成29)年7月なので、かなり早期に架け替えられたということだ。地下道の西側だけでなく東側にも設置されている。

路線市道
所在地岡山県岡山市北区奉還町1丁目
回転度270度
完成時期1959(昭和34)年
実走行日2020-09-24
全景写真
万町地下道西側入口拡大する
万町地下道西側入口。左カーブでこの下をくぐって東口方面(この写真の右側)へ向かう。標識は「二輪の自動車以外の自動車通行止め(304)」なのでバイクは通行可能だが、大排気量はやめておくほうが無難。また、もしかすると車椅子やカートを引く歩行者が通行しているかも知れないことに留意すべきだろう。
規制標識「徐行(329-A)」を新鮮に感じる人は多いだろう。
万町地下道ループの中央には智明権現の碑がある拡大する
ループしているのは二輪車用道路だけで、歩道は左に階段がある。万町地下道ループの中央には智明権現の碑がある。万町地下道東口の付近には岡山城下の町門があったそうなので、西国へ出立する人たちの安全を願う道祖神のようなものか?1891(明治24)年の山陽鉄道敷設・開業によってこの地に遷座されたのだろうか。
万町地下道のループ部。見通しが悪いのでカーブミラーが設置されている。天井はペンキの厚塗りで素材がよくわからなかった。地下道の内装に可燃性素材を使うとは考えにくい。仮に建設当初は木材を使っていたとしても、その後に関係当局の指導等により換装されていると思うのだが、杉材の羽目板のように見える。

奉還町(西側:ループがある側)から岩田町(東側)へ向かって走行した映像。雨なのにねえ。