上ノ国町・大留交差点

北海道は道路がほぼ直角に交差する見通しのよい交差点にも関わらず十勝型事故(コリジョンコース現象)で重大事故が頻発する土地柄があり、ラウンドアバウトの法制化よりずっと前から寒地土木研究所等を中心に導入検討が進められていた。

路面凍結による走行車両のスリップや除雪による中央島等構造物破壊の問題があってなかなか実現に至らなかった(※)が、2016(平成28)年9月26日、国交省北海道開発局函館開発建設部が国道228号の大留(おおどめ)交差点に導入すると発表した。

※ 現代的ラウンドアバウトではないものの、道内には旭川の常盤ロータリーと小樽の桜町ロータリーという円形交差点が戦前からあり、いずれも積雪や凍結を乗り越えて数十年以上にわたってロータリー交差点として運用されているので、決して無理難題ではなかったはず。過疎地域(=除雪があまりできない)における積雪凍結対策ということか?

「JR江差線廃線に伴う旧上ノ国駅前地区の活気と賑わいのあるまちづくりの推進と併せた交通事故対策」が設置の大義のようだが、本音は安全を担保した信号撤去だろう。

複雑な交差点であるが故に信号制御は避けられなかったが、交通量は極めて少ない地域であり、夜間の交通量皆無の時間帯に赤信号で待たされたり、歩行者用信号が押しボタン式のためにあまり利用されない(信号に頼ることなく車列が途切れたときに渡る)等の無駄が生じていたのだろう。

交差点内舗装の透水性と冬季凍結時の車両通行状況や除雪車両の苦労等、完成後の効果測定と課題認識を詳しく知りたいものだ。

路線国道228号/道道5号江差木古内線/町道高校裏通り線
所在地北海道檜山郡上ノ国町字大留
完成時期2019(令和元)年10月11日供用開始
実走行日2021-10-01
全景写真
道道5号の大留交差点近くに設置された青看板。そこそこ住宅があるエリアなので走行車両はそれなりに減速しているはずだが、この予告はとても大事。
大留交差点を南側から眺める拡大する
大留交差点を南側(道道5号)から眺める。バス停があったり商店が数軒あったり、かつての駅前らしいエリアだ。
大留交差点ラウンドアバウトを南側から眺める拡大する
大留交差点のラウンドアバウトを南側から眺める。ポールコーンとデリニエーターの合わせ技で通行帯を明示している。
大留交差点を西側から眺める拡大する
西側(国道228号函館側)から眺める。警戒標識「ロータリーあり(201の2)」の取り付け向きがおかしいぞ。
大留交差点を北側から眺める拡大する
北側(国道228号江差側)から眺める。この向きに走行する車両にとっては、ラウンドアバウト設置前後で通行方法が大きく変わった。道なりにゆるい右カーブだったところが、中央島を3/4周回らねばならない。
大留交差点を東側から眺める拡大する
東側から眺める。この接続路のみ、減速を促す路面ペイントがない。交通量が圧倒的に少ないだけでなく、直前にカーブがあるためスピードが出せないから必要ないのだ。
大留交差点空撮拡大する
大留交差点空撮。今までここが円形交差点でなかったことが信じられないぐらいに違和感なく配置されている。
エプロン端は歩車道分離ブロックが埋め込まれているが、段差はほとんどない。大型車の通行が多いことと除雪対策(破壊防止)だろう。
分離島は特筆することはない、かな?一般的な分離島の仕様だ。

ラウンドアバウト施工前(2018年6月28日撮影)

ラウンドアバウト施工前の大留交差点を南側(道道5号)から眺める。ここから国道に合流するまでに横断歩道が3本あった。
西側(国道228号函館側)から眺める。
北側(国道228号江差側)から眺める。停止線がかすれ、赤信号のときにどこで停車すればよいかわかりにくかった。
ラウンドアバウト施工前の大留交差点交通島。